ヒラリーvsオバマはまだ続く
4月22日。大統領選、民主党のペンシルバニア予備選挙。開票が始まって10分、開票率7%の時点でCNNはヒラリー・クリントンがオバマに勝ったと報じた。
大都市のフィラデルフィアはオバマが押さえたけれど、もうひとつの中心都市ピックバーグと都市周辺の工業地域、農村ではクリントンが優勢だ。
ペンシルバニアといえば映画『ディアハンター』の舞台になったところ。ロバート・デ・ニーロら5人の男たちが工場勤めだったことからも分かるように、製鋼業が盛んな地域だった。そうした重工業は1970年代に衰退し、長く低迷がつづいたが、最近はIT産業やサービス産業で経済は持ち直したと言われている。
CNNの調査によれば、工業地域は経済問題を中心にキャンペーンを展開したクリントンがほぼ押さえている。やはり、サブプライム問題をきっかけにした経済の失速がクリントンに有利に働いたんだろうか。
ペンシルバニアの経済は他州に比べ悪くないとはいえ、重工業衰退の傷跡はまだ癒えていないように見える。先週、フィラデルフィアに行ったけれど、列車のなかから見た北フィラデルフィアの風景が忘れられない。
北フィラデルフィアは工業地域で、閉鎖されたまま放置されている工場がそこここに残っている。その周辺を労働者階級の小さな住宅が取り囲んでいるけれど、人影は少なく、ところどころ歯抜けのように空地があって、ゴミが散乱している。店はほとんど開いていない。CNNの調査では、こういう町の住民は今回、クリントンを支持した。
結果が出て、ヒラリーとオバマがそれぞれの支持者を前に演説した。ヒラリーはこれまでの予備選のなかでいちばんリラックスしているように見えた。気になった表情の剣も消えている。オバマの演説はいよいよ熱が入り、素晴らしい演説だったけれど、不況とか石油価格の高騰とか身近なテーマが問題になってくると、その理想主義が逆に浮いているように感じたのは僕だけだろうか。
先日、話をしたニューヨーカー(50代男性、白人)は、「私はオバマ支持だけど、オバマが民主党の候補になれば、マケインが勝つだろうね」と言っていた。アフリカ系ということと、政策的実績に乏しいことで、全米では不安を持つ層がまだまだ多いんじゃないか、というのだ。
今日はヒラリーが勝ったとはいえ、獲得した代議員の数ではオバマが有利なことに変わりはない。本当に民主党の予備選は8月までもつれこむんだろうか。
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