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2008年4月27日 (日)

スタテン島を散歩

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スタテン島へ行ってみたかったんだけど、冬のあいだはなかなか足が向かなかった。すっかり暖かくなったので、マンハッタン南端のバッテリー・パークから市が運営する無料のフェリーに乗る。

自由の女神像のあるリバティ島のそばを通るときは、デッキで記念写真を撮る人も多い。それに見向きもせず室内で新聞を読んだりおしゃべりに夢中なのは、毎日このフェリーを利用してなんの感慨もない人たちだろう。

上の写真でフェリーの向こうに見えるのは、ブルックリンとスタテン島を結ぶヴェラザノ・ナロウズ橋。僕のアパートの窓から、夜になると緑にライトアップされたこの橋が遙かに見える。

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スタテン島はニューヨークを構成する5つの区のひとつ。でも、フェリー・ターミナルからバスに乗って町を走っていると、とても大都会、それもニューヨークとは思えない。丘陵がつづき、緑が多い。高い建物はほとんどなく、アフリカ系が多いダウンタウンを過ぎると、あとは郊外の瀟洒な1軒家が広がっている。

バスに30分ほど乗ったところに、ヒストリック・リッチモンド・タウンがある。19世紀から20世紀初頭にかけての裁判所や民家が保存されている公園。もっとも、周辺で今も使われている建物も似たような木造家屋が多いから、どこまでが公園でどこからが町なのか、すぐには区別がつかない。

上の写真はエドワーズ=バートン邸。豊かな一家だったんだろう、大きな館。

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小川の脇に立つバスケット製造業者の家。

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大工の家。

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ブリキ加工品店の内部。

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印刷屋の活字棚。

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スタテン島がこんなのどかな雰囲気を残しているのも、フェリー(人だけ。車は載せられない)でしかマンハッタンと結ばれていないからだろう。歩道をゆったり歩いている人たちの表情を見ていると、住民もそれを良しとしているように思える。

これが日本だったら、本州と四国の間に橋を架けてしまうくらいだから、それよりずっと短いスタテン島とマンハッタンの間に橋を架けるなりトンネルを掘るなりしてしまうだろう。その結果、便利にはなるけれど、ニューヨークの一角にこんな田舎町の風情が残っているという信じられない光景は、あっという間に消えてしまうに違いない。

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ヒストリック・リッチモンド・タウンから10分ほど歩いた丘陵の上、斜面に沿った高級住宅街のなかにジャック・マーシェ・チベット美術館がある。

20世紀前半にマンハッタンに住んだジャック・マーシェという裕福な女性が、チベットの仏教美術に心酔して集めたコレクション。チベット以外では最大規模らしいけれど、チベット寺院の1室を模してつくられたささやかな美術館で、展示されているのは仏像を中心に仏典、仏具、陶磁器、家具、書籍など。

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ヴァジュラパニ(金剛力士、左)とシクロ(平和相や憤怒相など様々な相の仏のひとつ、らしい)。ほかに釈迦像や観音像、明王・明妃の交合像などがある。

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ダライ・ラマの写真も飾ってあったけれど、最近のチベット問題に関しては何のメッセージもなかった。ご当人が亡くなった後は、その精神を引き継ぐ人もなく、世俗から切り離され美術品としてのみ管理されているということか。

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スタテン島の夕暮れ。

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マンハッタンの港から見たブルックリン。

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