AIPADフォト・ショー
10日からAIPADフォト・ショーが開かれているので、どんなものか覗いてみた(Park Avenue Armory)。
AIPADとはThe Association of International Photography Art Dealersの頭文字で、写真を専門に扱う美術ギャラリーの国際的な組織。毎年この時期に、アメリカを中心に世界中から100以上のギャラリーが出店して写真を売買する。
絵画の世界に比べれば小さなマーケットだけど、写真を扱うギャラリーもコレクターもずいぶん増えてきている。日本ではまだ写真をアートとして評価し売買する習慣が根づいてないし、その功罪を話しはじめると長くなるからひとまず措いて、世界的に見れば写真が美術マーケットの一部に組み込まれつつあるのは紛れもない事実だ。
(右はロバート・メープルソープの作品)
このショーはいわば業界の催しで、写真コレクターやギャラリー同士の売買の場だから、僕みたいな野次馬的な観客は少ない(入場料25ドルって、冷やかしお断りってことだろうね)。
でも、どのギャラリーも売りたい作品を選りすぐって展示しているわけだから、美術館でしかお目にかかれない(あるいは美術館でもお目にかかれない)作品のヴィンテージ・プリントを見ることができる。
もっと現代写真が多いかと思っていたけど、意外にも写真史の教科書に出てくるようなモノクロームの作品が多い。ウジェーヌ・アジェやアウグスト・ザンダー、アルフレッド・スティーグリッツといった近代写真の祖のような人たちのプリントに出会えるとは思わなかった。
日本人写真家はこのところ世界的に注目されてるけど、人気はやはり森山大道と荒木経惟で、複数のギャラリーが作品を展示していた。他に目についたのは浜谷浩、東松照明、若い世代では瀬戸正人、川内倫子といったところ。
ブースからブースへ歩いていると、印刷物でしか見たことのない写真家や有名作品に出くわして、あるところにはあるもんだなあ。
ちなみに見た限りでいちばん安かったのはビリー・ホリデイとルイ・アームストロングのポートレート(知らない写真家。ヴィンテージでなく、モダン・プリント)で1400ドル、いちばん高いのはスティーグリッツのキャビネ・サイズほどの小さな風景写真で6万ドルでした。
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