予備選はまだ続く
民主党の大統領予備選で、ヒラリー・クリントンがテキサス、オハイオという大票田でオバマに勝利した。CNNの開票速報を見ていたら、テキサスでは最初、オバマが3%のリードを保っていたのが時間とともに差が縮まり、やがて逆転という手に汗握る展開。風邪気味だから早く寝ようと思っていたのに、つい遅くまでテレビに見入ってしまった。
2つの州でヒラリーを勝たせた要因は、テキサスでは反オバマ(反アフリカ系)のラティーノ(農場のメキシコ系労働者)の存在、オハイオの場合は景気(ここでの争点は高失業率と貧困)だろうか。
両州のどちらかでもオバマが取れば勝負は決まりだったろうけど、これで決着は4月まで持ちこされることになった。高見の見物をしている外国人から見ると、まだまだ楽しめそう。
今回の民主党予備選は、初めての女性大統領か、初めてのアフリカ系大統領か、が話題の中心だけど、それをひとまずカッコに入れると、その下から昔ながらの構図が見えてくるように思う。
ワシントンでの豊富な経験と実績を売りものにする現実的政治家(クリントン)と、現実政治に汚染されていない清新さを売りものにするポピュリスト(オバマ)の対決という構図。前にも書いたけど、オバマが「Yes we can」を連発し聴衆がそれに応えて熱狂する風景は、ゴスペルを歌いながら陶酔する教会の信者たちを思い起こさせるし、ポピュリストの典型的な手法でもある。
ポピュリストは「風」を掴むのがうまいし、追い風に乗れば更に勢いに乗る。この1カ月、9連勝したオバマはまさにそれだった。今回の結果で、果たして「風」は止むのか。それとも、もう一まわり大きな「風」を巻き起こせるのか。
今回の大統領選でいちばん底を流れているのは、共和党の候補がそろってブッシュから距離を置いたことでも分かるように、ブッシュと彼がやったイラク戦争はもういいよ、という感情だろうと思う。
なにしろ9・11と何の関係もなかった国に軍隊を派遣して、毎月数十人もの自国兵士の犠牲を出している(それより遙かに多いイラク人を殺してもいる)。だから今回は振り子が逆に振れるはずで、その意味では初めから民主党優位の選挙と言えるんじゃないかな(予備選の投票総数を見ても、民主党のほうが共和党よりかなり多く、関心が高い)。
共和党では穏健派のマケインが候補に決まったのも、共和党なりにブッシュとは違うスタンスでそのへんを修正しましょう、ということだろうか。
ところで、選挙本番では2~3割いる無党派層が共和党候補に投票するか民主党候補に投票するかで勝負が決まると言われる。民主党側でその層を掴めるのは、経験と堅実さを売りにするクリントンなのか、「変革」の風を吹かすオバマなのか。
風が一瞬凪いでふと気づいてみたら、明日の財布が心配になった、なんてことも、サブプライム問題で景気悪化が心配されている今、ありえないことじゃないな。
ところで何人かのアメリカ人に、「アフリカ系が大統領になることへの抵抗感はあるの?」と聞いてみた。誰も口には出さないけど内心の抵抗はある、という人もいれば、もうそんな時代じゃないよ、という人もいる。
そんなもろもろの要素が絡み合って、ほとんど期待が持てない日本の政治に比べると、「劇場政治」としての面白さは本場のブロードウェー並みだ。少なくとも、どちらの党のどの候補者も、自分の考えと政策をはっきり言葉にして国民に語りかけていることには、当り前のことながら感心する。
誰が米国大統領に選ばれるかは、世界がこれから10年どの方向に動くかに影響する重大な選択だけど、とりあえず選挙権のない身にとっては、この出し物はどんな芝居より面白い。
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コメント
おかえりなさい(?)
>この出し物はどんな芝居より面白い。
面白くするためには、片方が圧倒的に強くては
つまらないですが、うまい具合に勝ったり負けたりですね。
劇場監督がいるとしたら、もう少し、
筋に意外性も欲しいとリクエストしたいです。
東京では、何が美味しかったですか?
投稿: aya | 2008年3月 7日 (金) 08時39分
意外性ね。ヒラリーが代議員数で上回ってれば、ヒラリー大統領、オバマ副大統領で手打ち、という選択もあったかもしれないけど、逆はないでしょうね。
いちばん美味しかったのは浅草・梅むらの豆カン。安上がりな舌です。あと、鮨のヒカリモノはこっちにないから堪能しました。
投稿: 雄 | 2008年3月 7日 (金) 22時56分