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2008年3月 2日 (日)

2週間ぶりのNY

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北米大陸を横断してニューヨークJFK空港を目指す航空機はいったん大西洋に出て反転し、海上から空港に入ってゆく。眼下にロングアイランドの海岸線と、小さな沼がいくつも連なったような潟を見下したとき、いま、この便はブルックリンの自分の部屋から見えているな、と思った。

僕が住むアパートの窓からは、ヴェラザノ・ナロウズ橋をかすめるようにJFK空港に下りてゆく航空機を朝から晩まで1、2分おきに、時には視界に複数見ることができる。ベッドに寝転がって、青空を切り裂く機影を、あるいは闇を横切ってゆく灯をぼんやりといつまでも眺めているのは、なんとも快い時間なのだ。

空港内を走るエア・トレインから地下鉄のハワード・ビーチ駅に出ると、風が頬を刺すように冷たい! 機内には現在の気温-2℃と表示が出ていた。出発日の東京が春みたいなぽかぽか陽気だっただけに、これはこたえる。

Aトレインに乗ると、車内も座席も冷えきっている。こちらの地下鉄の座席は合成樹脂製で、柔らかくて暖かな日本の電車の座席とは大違い。腰かけた尻の冷たさに、ああ、ニューヨークに戻ってきたんだな、と思う。

Aトレインはブルックリン東端の郊外から西へと夕闇の高架上を走る。現在でもあまり治安がよくないと言われている地域だ。いくつ目かの駅で、若いアフリカ系の男が黒いゴミ袋を片手に乗ってきて大声で話しはじめた。自分はホームレスだ、仕事も住むところもない、クォーター(25セント)でもダイム(10セント)でもいいから援助してくれないか。

ニューヨークの地下鉄では日常的に出会う風景。あまりに頻繁にお目にかかるので、音楽なりブレイク・ダンスなり、おお、やるじゃんと思える芸を披露してくれたときに1ドル寄付することにしている。

この若い男は何の芸もなく、ただしゃべっているだけ。でも、2週間ぶりのNY、自分の手が勝手にポケットのなかで動いて、1ドル札がなかったのでクォーター2枚を寄付した。「God Bless You.」と男から感謝されて、ああ、ニューヨークに戻ってきたな、と思う。

僕の向かいの席には、仕事帰りらしき中年の男が座っている。小柄な白人で、髪も目もブラウン。ときどきジャンパーの内ポケットから、ジンかウォッカだろうか透明なスピリッツの小瓶を取り出し、人目から隠れるように素早くぐびっとやっている。

またいくつ目かの駅で、一目でインディオの血が濃いと分かるラティーノが乗ってきて、ぐび男の隣に座った。こちらも肉体労働をした後らしく、手や顔がほこりにまみれたままだ。

彼はおぼつかない英語で、この地下鉄はマンハッタンに行くか、と隣のぐび男に尋ねている。ぐび男は、大丈夫だ、という仕草をしてみせ、ラティーノが持っていた手書きの地図を見て、いくつ目の駅だと教える。

やがて僕が降りる駅のひとつ手前で、ぐび男は、俺はここで降りるけど4つ目があんたの降りる駅だよ、とラティーノに教えて降りていった。その光景を眺めながら、ああ、ニューヨークに戻ってきたな、と3度思った。

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コメント

 お帰りなさい。また、NYレポート楽しみに読ませていただきます。
 ところで、私の娘も3月1日、成田を11時頃出発する飛行機でNYに行きました。雄さんのJFK到着のレポートを読んでいて、ひょっとすると同じ飛行機だったのではと勝手な想像をしていました。
 昨日電話がかかってきましたが、NYは相当寒いと言ってました。
 娘は20日頃までNYにいます。雄さんのレポートもプリントアウトして読ませています。ジャズのライブにも行くと言ってましたので、どこかでお会いするかもしれませんね。
 ではまた。

投稿: TO | 2008年3月 3日 (月) 08時18分

私は29日に出発しました。このブログは日本時間で表示されているので、こっちの日付とは1日ずれているんです。

私のブログは娘さんに読んでいただくほど大層なものではありませんけど、どこかでお目にかかるかもと考えると楽しいですね。

投稿: | 2008年3月 3日 (月) 12時23分

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