バワリーのニュー・ミュージアム
昨年12月にオープンしたバワリーのニュー・ミュージアムに出かけた。
バワリーといえば、かつては足を踏み入れてはいけない場所の代名詞のようなところだった。
高校生だったからもう40年以上前、『バワリー25時』というドキュメンタリー(ふうの劇映画だったか?)を見たことがある。まだホームレスやジャンキーなどという言葉を知らない時代、浮浪者や麻薬中毒者がうごめく貧民街のリアルな姿に、同時上映されていた映画のタイトルそのままに『アメリカの影』(ジョン・カサベテス監督)を感じた。
それから20年近くたった1980年代にニューヨークを初めて訪れたとき、バワリーはまだ危険な場所だった。NYに住む友人の案内でバワリー近くのレストランに行ったおりも、車から降りてほんの数十メートル歩くだけで、まわりに気をつけて、と言われて足早になったのを思い出す。
いま、バワリーにそんな空気はない。ロウワー・イースト・サイドの街並みはきれいとはいえないけれど、そしてこの日は大雨で人が少なかったけれど、ホームレスもジャンキーの姿もなく、歩いているのはごく普通の人たちだ。
周辺に厨房器具の店などが並ぶなかに、ニュー・ミュージアムのユニークな建物が建っている。妹島和世と西沢立衛のユニット・SANAAの設計で、まるで近くで売っている厨房器具を巨大にした箱が乱雑に積み重ねられたような、メタリックな感触。周囲の古い建物のなかに屹立して、バワリーが変わりつつあることを実感させる。
彼らの設計した建物では原宿のDior表参道に行ったことがあるけど、まるで光の塔のようになる夜の姿が特に美しかった。このミュージアムは夜はどうなるんだろう? 今度は夜に来てみようか。
もっとも、中にもう一度入る気はしないな。ここは現代アート専門の美術館で、オープニング展の「アンモニュメンタル」はあえて「ジャンク」な素材と手法の作品を集めてるみたいだけど、結果も「ジャンク」だったと僕には思える。どの作品の前でも、一度も足が止まらなかった。
| 固定リンク
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 引っ越しのお知らせ(2008.09.26)
- 旅行に出ます(2008.07.29)
- チェルシー歴史保存地区(2008.07.10)
- チェルシー・マーケットで買い物(2008.07.07)
- 10番街を歩く(2008.07.01)



コメント
一ヶ月程前に、このブログを偶然に知り、以来ほぼ毎日、チェックしています。NY一人暮らしうらやましいですね。団塊世代、そろそろ定年も間近なので、雄さんみたいに、一年間は無理にしてもミニ版でも実現出来ればなあと思い読んでいます。色々、NY生活の日常のこまごまとした情報が分かるので、楽しいですね。
私も短期間ですが、2度NYに滞在したことがあります。その時使っていた地図を横におきながらいつもブログを読んでいます。私もジャズが大好きですし、NYも大好きです。この夏、またNYに行くことが出来そうです。幸い、この記事にありますバワリーのニューミュージアムのすぐ近くに滞在出来そうなので、是非行って見たいと思っています。次回のNY行きは、このブログを案内板にさせていただきます。
投稿: TO | 2008年2月 6日 (水) 05時12分
>妹島和世と西沢立衛のユニット・SANAA
美術館の設計を任せられるなんて、大したものですね。妹島さんは、10年くらい前は普通の家の設計もしていたと思います。その頃いい建築家を探していたわが家、彼女に頼めば有名作品のひとつになっていたかな。でも、過激そうで当時はとてもとても・・・。アメリカは設計料よいでしょうね!?
投稿: aya | 2008年2月 6日 (水) 08時30分
>TOさま
ひんぱんにご覧いただけているとのこと、ありがとうございます。それに応えてひんぱんに更新できるといいのですが。
ガイドブックとは別のガイドとして使っていただけるとは光栄です。これからもよろしく。
>ayaさま
それは惜しいことをしたというか、よかったというか。知人で、名のある建築家に自宅を設計してもらったものの、個性的すぎて住みにくく、結局引っ越した人がいます。公共建築ならともかく、自宅は住み心地が大事ですよ。
このユニットは確か金沢の21世紀美術館も設計したんじゃなかったかな。行ってみたいと思いつつ、まだ行っていませんが。
投稿: 雄 | 2008年2月 6日 (水) 23時00分
ご無沙汰しています。
相変わらずNYライフを堪能なさっているようで羨ましい限りです。
バワリーには昔々70年代後半に3ヶ月だけですが滞在していました。
確かに物騒そうには見えましたが、実際住んでみるとさほど身の危険を
感じるほどではなかったことを思い出しました。
ちなみに金沢在住のものにとって
>このユニットは確か金沢の21世紀美術館も設計したんじゃなかかな
に、思わず反応してしまいました(笑)
さすが、良くご存知ですね。
投稿: nikidasu | 2008年2月10日 (日) 12時52分
70年代後半のバワリーですか。どんなだったんでしょう。確かに、実際に住んでみると、外から見ていたのとは違うものですね。
nikidasuさんのブログ、楽しみに拝見していますが、食べものの話は外国暮らしには目の毒です。
投稿: 雄 | 2008年2月10日 (日) 13時09分