« R・キャパのネガ3500点を発見! | トップページ | ブルックリンご近所探索・16 »

2008年2月 1日 (金)

メトロポリタン通い・3

0801311w

(色っぽい観音さん。遼時代。10~11世紀)

今日のメトロポリタン通いは中国美術へ。ここの展示は、アーヴィング夫妻という一組の夫婦のコレクションを基礎にしているらしい。特に古代中国の青銅器は質量ともに豊富で見ごたえがある。

陶磁器もかなりの量が展示されている。

中国の陶磁器はヨーロッパに輸出されて貴族に愛好され、17~18世紀にはそれを真似たデルフトやマイセンなどヨーロッパ陶磁器を産み出し、シノワズリーという中国趣味も流行した。伊万里の磁器も、もとをたどれば景徳鎮の代用品としてヨーロッパに輸出されていた。

中国・日本・ヨーロッパの似たデザインの陶磁器を並べて展示するコーナーがあり、これがけっこう面白い。有田の柿右衛門はあまり好みではないけど、中国・ヨーロッパのものと並べみると、いちばん好ましく感じられるのはやっぱり日本人だからだろうか。

そういう歴史があるから、ヨーロッパに憧れたアメリカの金持ちも中国趣味を共有している。そういえば、フリック・コレクションにも中国の陶磁器がたくさんあったっけ。

0801312w

(四川の職人を招いてつくられた館内庭園は不思議な空間。ロックフェラー家、ヴァンダービルト家と並ぶ米3大富豪のひとつ、アスター家の寄贈)

中国美術のセクションに隣り合って、日本と韓国美術の部屋がある。

中国と日本・韓国の展示を同時に見ていると、中世くらいまでの日本と韓国の美術は中国美術の1支流にすぎないことを否応なく納得させられる(もちろんディテールには、さまざまな「日本化」「韓国化」があるのだが)。

メトロポリタンは寄贈された個人コレクションが基礎になっているから、所蔵品ははっきり言って玉石混交だと思う。もちろんすごい「玉」がたくさんあるわけだし、「石」は「石」でヨーロッパ絵画やエジプト美術のように圧倒的な量があれば、それによって流れがつかみやすくなるという役割を果たしている。

でも日本のように展示品の量が少ないと、文字通りの玉石混交が目につく。春信や歌麿の隣に、明治期のどう見ても上品とは言えない浮世絵が飾ってあるし、陶磁器は僕にはかなりの部分がジャンクに見える。

話はとぶけど、ハリウッド映画で日本や日本人が登場すると、たいていどこか中国ふうな、あるいは無国籍東洋ふうな、珍妙な姿になっていることが今に至るまで続いている。

でもこういう展示を見るていと、関心を持っている人ならともかく、一般的なレベルではそうなるのも無理ないな、という気もする。3国は大づかみにいえば同じ流れに属しているから、僕らがイラクとイランの美術の識別がむずかしいように、アメリカ人にも中国と日本と韓国の区別は簡単じゃないだろう。

しかも中国への憧れを持っていた日本絵画(例えば屏風絵や南画)は、テーマとして中国の風景や風俗を取り上げることも多い。平均的な外国人がこれを見れば、日本の屏風絵に描いてあるのだから日本の風景や日本人に違いないと勘違いしても仕方ないのかも。

日本や韓国のセクション(あるいはドローイング・版画・写真のセクション)みたいに量的に貧弱なところの展示を見ると、良くも悪くもメトロポリタンのあり方が分かってくる。

もちろん、量的に少ないセクションにも「玉」があるのがさすがなんだけど。1点づつあった春信、歌麿が艶っぽくて素敵だ。李朝白磁の大壺にも見惚れる。

|

« R・キャパのネガ3500点を発見! | トップページ | ブルックリンご近所探索・16 »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/41136/17908673

この記事へのトラックバック一覧です: メトロポリタン通い・3:

« R・キャパのネガ3500点を発見! | トップページ | ブルックリンご近所探索・16 »