『4マンス・3ウィークス・アンド・2デイズ(4 Months, 3 Weeks and 2 Days )』
暗く、淋しく、しかしどこに誰の目が光っているか分からない不気味さを感じさせる街。そんななかを、不安を抱えてさまよい歩く主人公の姿が圧倒的だ。
チャウシェスク独裁政権下のルーマニア。ブカレストの学生寮で、2人の女子学生が同室で暮らしている。その1人、ガビータ(ローラ・バシリュー、写真右)が妊娠してしまい、非合法の堕胎をしようとしている。
もう1人の女子学生、オティリア(アナマリア・マリンカ)がそれに協力する。恋人から闇の医者を紹介してもらい、ホテルの部屋を取る。監視されているフロントを通過して医者を部屋に連れてきたものの、所持金が不足していて、その分を体で支払うことを強いられる。
ストーリーそのものも辛いけど、そうしたことが学生寮やホテルや街路や路面電車の、何とも寒々とした風景のなかで進行する。『善き人のためのソナタ』もそうだったけど、社会主義政権下の、冷気が肌に沁みこんでくるような気配が実感できる。その冷たい空気感が、この映画のひりひりするような魅力だ。
手術直後のガビータを部屋に残して、オティリアは恋人の誕生日を祝いに彼のアパートを訪れなければならない。残されたガビータは無事なのか? 堕胎はうまくいったのか? このあたりはサスペンス・タッチで、見る者をはらはらさせる。
恋人の家にいたたまれず、暗い道を走ってホテルに戻るオティリア。堕ろした胎児をバスタオルにくるみ、処分する場所を求めて街をさまよい歩くオティリア。その姿を捉えるカメラは、彼女の動揺が乗りうつったように揺れ動く。そのカメラワークが素晴らしい。
2007年カンヌ映画祭のパルムドール受賞作。クリスチャン・ムンギウ監督の2作目だけど、前作はコメディーだったそうだ。1作目を見てみたい。
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コメント
以前こちらにTBさせていただいたのですが
なぜかリンク切れとなっていたため、改めてもう一度させていただきました。申し訳ありません。
相互TB、どうもありがとうございました。
投稿: mameyamori | 2008年3月 4日 (火) 23時28分
いただいたTBがなぜか私の承認が必要なカテゴリーに分類されてしまい、日本にいる間ほとんど自分のブログを覗かなかったので失礼しました。
mameyamoriさんのブログ、楽しく拝見。映画や本の趣味がけっこう似ているかもしれませんね。外国生活という共通点もあるし、これからもちょくちょく訪問させていただきます。
投稿: 雄 | 2008年3月 5日 (水) 08時45分