ブルックリンご近所探索・15
先週(ブルックリンご近所探索・14)につづいて、レッド・フック地域のもうひとつの気になる場所、ガヴォナス運河(Gowanus Canal)に行ってみることにした。
アパートからスミス通りに出て、ひたすら南へ歩く。スミス通りは古い商店街だけど、最近は新しい店もふえてきた。写真中央の店は、庇を葦(?)で葺いたバー。
スミス通りを途中から東へ折れると、ガヴォナス運河にぶつかる。この運河は、ブルックリンのかつての繁栄をしのばせる場所だけど、今はさびれてひっそりしている。
前回と同様、『レッド・フック』から引用してみようか。
「ガヴォナス運河は胆汁を思わせる緑色だった。昔、ブルックリンの子どもたちは、そのせまい堤防から叫び声としぶきをあげて跳びこんだものだが、隣接する工場群から一世紀以上にわたって流れこんだ未処理下水と汚染物質のせいで、ある種の藻と、キリーフィッシュと呼ばれている小さくてひねくれた種をのぞいて、あらゆる生物は水には住めなくなっていた」
このミステリーが描写するとおり、運河に水の流れはなく、緑色に淀んでいる。かすかに異臭がする。運河の両側には工場や倉庫が並んでいる。あたりはひっそり静まりかえり、ほとんど人を見かけない。土曜の午後とあって、どこが廃屋でどこが今も稼働しているのか判然としない。
先週行った港の倉庫は改造されてコンドミニアムとスーパーマーケットになり、ニューリッチ族が移り住んで「ジェントリフィケーション」が進行してるが、ここにはまだその波は押し寄せてない。
サイト「マンハッタンを歩く」によると、19世紀後半以来、この一帯はエリー運河によって中西部から運ばれてきた穀物や石炭など物資の集積地として、また加工工場として栄えたという。運河の周辺には屠殺場、鋳物、石工、セメント、製紙、製粉、製鉄、石鹸、陶器などの工場がひしめいていた。
しかし1960年代に物流の中心が海運からトラックなど陸上輸送に移ったことによって、ガヴォナス運河一帯は急速にさびれてしまった。
海に向かって歩いていくと、地下鉄Fラインの高架が見えてくる。これを超えると、海はもうすぐだ。1時間ほど歩いて、すれ違った人の数は10人に満たない。
かつてのブルックリンの工場地帯、ウィリアムズバーグが今はアーティストの住むおしゃれな街になったように、いずれこのガヴォナス運河周辺も「ジェントリフィケーション」の波に洗われるのだろうか。ここから3ブロック西に行ったスミス通りが今、新しい通りに変身しはじめているから、その可能性はある。
運河とスミス通りをまたぐ地下鉄Fラインの高架。
この日の気温は3℃。2時間近く歩いてすっかり冷えてしまったので、スミス通りのクバナ・カフェで昼食。海の幸スープで暖まる。店内には陽気なキューバ音楽が流れ、カストロとモハメド・アリが談笑する写真が飾られていた。
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