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2007年9月

2007年9月30日 (日)

『イン・ザ・ヴァリー・オブ・エラ(IN THE VALLEY OF ELAH)』

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僕の語学力ではこの映画、歯が立たなかった。いい映画だったので、残念。

退役軍人(トミー・リー・ジョーンズ)の息子が、イラクの前線から帰ってきた後、基地から脱走して行方不明になる。トミー・リー・ジョーンズが地元警察の捜査官(シャーリーズ・セロン)と彼の行方を追うが、息子は無残な焼死体で発見される。

息子の携帯に残されたイラク前線の映像を手がかりに、ジョーンズとセロンは彼がなぜ殺されなければならなかったのかを探ってゆく。軍は2人に非協力的で何が起こったのかを隠そうとするが、徐々にイラク前線での生々しい事件と、父親が知らなかった息子の姿が明らかになってくる……。

トミー・リー・ジョーンズの息子がなぜ殺されたのか、その肝心の部分のセリフが僕にはよく理解できなかった。だから、映画の中身について語るのは、これ以上はやめにする。

ただ、映画のスタイルについて気づいたことがある。映画を見始めてすぐ、これはポール・ハギス監督の前作『クラッシュ』とはまったく違う映画だな、と思った。

『ミリオンダラ・ベビー』や『父親たちの星条旗』の脚本家、ポール・ハギスの監督としての処女作『クラッシュ』は、ひとつの交通事故をきっかけに、さまざまなエスニシティを持った人間が連鎖的につながり、傷つけあう、時制も入り組んだ複雑な群像劇だった。うまいなあ、とは思ったけど、そのトリッキーな構成ゆえに、彼が描こうとした人々の悲しみの連鎖が逆に軽くなってしまった印象も受けた。

『イン・ザ・ヴァリー・オブ・エラ』は、それとはまったく正反対の、きわめてオーソドックスな構成を持っている。

事件の鍵をにぎる、息子と同じ小隊の兵士3人の告白を、『クラッシュ』みたいにもっと複雑に入り組ませることもできたはずけど、ハギスはあえてそれをやらず、ストレートにトミー・リー・ジョーンズとシャリーズ・セロンが事件に肉薄してゆくさまを物語ってゆく。そんなスタイルを採用したのは、題材がイラク戦争という、アメリカにとって今いちばん生々しい問題だからだろうか。

もうひとつ、この映画では星条旗の扱いが重要な意味を持っている。ハギスが脚本を書いた『父親たちの星条旗』でも、国旗が印象的な使われ方をしていた。クリント・イーストウッド監督は注意深く、さりげなく、でもはっきりと星条旗への違和感を、一瞬の描写のなかで描いていた(これについては以前のブログで書いたことがある)。

それ以前に、スティーブン・スピルバーグ監督も『プライベート・ライアン』のなかで、逆光で色が反転した星条旗に批判的メッセージを込めたことがある(と僕は思う)。スピルバーグやイーストウッドみたいな、すべてに周到な配慮が求められる国民的監督と違って、ポール・ハギスの場合は大胆だ。

ネタばれになってしまうのでこれ以上は書けないけど、その描写に僕はアメリカの健全な批判精神を感じた。そして同時に、深い悲しみも。

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2007年9月29日 (土)

ユニオン・スクエアでチェス勝負

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ユニオン・スクエアでは、何人ものチェス・プレイヤーが盤を広げて客の挑戦を受けている。 当然、お金も賭けてるんだろうな。

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映画を見た後、チャイナタウンで遅めの昼食を取る。利口福の海老ワンタン・ヌードル。小ぶりながらぷりぷりの海老が入ったワンタン。丼も小ぶりだけど、麺はたっぷり入っている。スープはあっさりと日本人好み。これで3ドル75セントは安い。

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2007年9月28日 (金)

ブルックリンご近所探索・3

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kikuさんからリクエストのあったパーク・スロープへ行くのに、はじめてバスに乗る。全線どこまで行っても2ドル。地下鉄と共通のメトロカードを料金箱に差し込めばいいので簡単。

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広大なプロスペクト・パークに隣接したパーク・スロープは、yuccaさんに教えていただいたんだけど、ブルックリン・ハイツと同様に古くから開発された高級住宅地。公園を望む一等地には、ほかとは明らかに違う邸宅が並んでいる。

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このあたりはもっぱら白人の居住地域。ポール・オースターらセレブも住んでいる。

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入口からドアまでも距離があり、しゃれた小庭園になっている家も多い。

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パーク・スロープを下ってくると、映画『スモーク』の舞台にもなった7番アヴェニューにぶつかる。

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2007年9月27日 (木)

ニューヨーク市立図書館

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たまには勉強しなくっちゃ、ということでニューヨーク市立図書館へ。蔵書は460万冊。書籍以外にも地図、写真、テープ、印刷物など20億点のコレクションがあって、特に地図のコレクションは世界有数らしい。

一般の閲覧室は、僕らも自由に利用ことができる。パソコンもおいてある。日本の図書館もそうだけど、自分の資料やテキストを持ってきて勉強や書きものをしている人も多いみたいだ。僕もときどき来ることにしよう。雨の日に、この静かな空間で読書なんてのもいい。

建物も立派なもので、写真はメインホール。この左奥の部屋に16世紀初期の銅製の小さな地球儀(まだ北米大陸が描かれていない)と、3色刷りのグーテンベルクの聖書が展示してある。このふたつを見るだけでも、ここへ来る価値あり。

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2007年9月26日 (水)

クライスラー・ビルとフラットアイアン・ビル

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ミッドタウンへ行く用事があったので、近くで見たことがなかったクライスラー・ビルと、ついでにフラットアイアン・ビルの周りを歩く。いずれも建築当時は世界一の高さを誇った、20世紀初頭の摩天楼の時代を象徴する建物。

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遠くから見るアールデコの尖塔は優美だけど、そばで見ると中層部に鷹の意匠があたりを睥睨していて、けっこう威圧的な印象。

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レキシントン・アヴェニュー側の入り口。尖塔と同じアールデコのデザイン。

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フラットアイアン・ビルは、1930年建設のクライスラー・ビルより一時代古い1902年建設。アメリカ近代写真の父、スティーグリッツが確か冬のフラットアイアン・ビルを撮っていて、周りには馬車が走っていたように記憶する。

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低層階の装飾。アールデコのクライスラー・ビルと対照的に古典様式(ボザール様式って言うのかな?)のデザイン。

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石柱の装飾。

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2007年9月25日 (火)

ブルックリンご近所探索・2

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アパートから東へ200メートルほど行ったところに、フォート・グリーンリイ公園がある。フォート(砦)という名の通り全体が小高い丘になっていて、日曜の午後、サッカーやジョギングをしたり、芝生で食事する家族連れでにぎわっていた。

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公園を横切ってデカルブ・アヴェニューを東へ行くと、古い建物の閑静な住宅街が左右に広がっていた。これまで僕のご近所探索はにぎやかなダウンタウン方面に限られていたので、近所にこんな昔のブルックリンを偲ばせる風景があったとは意外。

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デカルブ・アヴェニューをさらに東に行くと、yuccaさんに教えていただいたカフェ・ティリーズ(Tillie's)があった。人気の店らしく、若い人でにぎわっている。窓が広くて明るく、ノートパソコンを持ち込む若者もいて長時間いても大丈夫そうだから、僕が探していたカフェの条件にぴったり。カフェ・オレも1ドル75セントと安い。

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窓際のカウンターに座って外をながめていると、いろんな人が通りかかって飽きない。このあたり一帯、最近になってお洒落なイタリア・レストランなど新しい店が増えてきたそうだ。フォート・グリーンリイ公園からカフェ・ティリーズへ、これから僕の散歩コースになりそうだ。

帰り際、カフェの隣にあるレストランのバルコニーでおしゃべりしていたアフリカ系のおばさんに、「ごきげんいかが」と声をかけられた。通りがかりの人に声をかける文化が、ブルックリンには残っているんだね。

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2007年9月24日 (月)

『シュート・エム・アップ(Shoot 'Em Up)』

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ニューヨークでどんな映画を見たらいいか。

もちろんイーストウッド、リンチ、クローネンバーグ、タランティーノ、カーティス・ハンソン、トニー・スコットら、新作をほぼ見てきた監督たちの映画は見るつもりでいた。僕もいっぱしの映画フリークのつもりだから、語学力に不安があってセリフが十分に理解できなくとも、映画のいちばん大事なところはつかまえられる、くらいの自信はある。

もうひとつ、こちらで見ようと思ったのは日本では見られない映画。日本に来ない映画にはいくつかの種類があって、ハリウッド資本でも買い手がつかなかった映画、ハリウッドの外でつくられた低予算のBムービー、それからインディペンデント系の映画。せっかくだから、そういう映画をできるだけ見ようと思って来た。

『シュート・エム・アップ(Shoot 'Em Up)』は、そんな種類の映画。クライブ・オーウェン、ポール・ジアマッティにモニカ・ベルッチと堂々たるスターが揃ったハリウッド映画だけど、日本のどの配給会社も興味を示していないらしい。

っていうのはこの映画、中身は限りなくBムービーに近いというか、町山智浩の表現を借りれば「謎の刺客を撃って撃って撃ちまくる座頭市なプロット」の「大馬鹿ガンプレイ映画」なのだ。

ともかく冒頭からエンディングまで、黒いレザーコートで決めたクライブ・オーウェンが、偶然に助けた赤ん坊を守ってポール・ジアマッティ率いる何十人ものヒットマンを撃ちまくるだけの映画といってもいいくらい。

これも町山によると、Bムービー専門だったマイケル・デイヴィス監督がジョン・ウー映画に憧れて描いた銃撃シーンの絵コンテがプロデューサーの目に止まり、金を出そうという話になって、コンテをつなぐストーリーを後からあわててでっちあげたらしい。

この銃撃シーンがまたコミックそのものというか、「ありえねー」というシーンの連続で、それを楽しめなければこの映画は退屈するだけ。というより、それを楽しむ映画なんだね。

たとえば最後のほう。手の指を5本とも折られて銃を撃てなくなったオーウェンが、指と指の間に銃弾をはさんで火にかざすと、銃弾が飛び出して相手を殺すなんてシーン。

あるいは、殺し屋ジアマッティがライフルで回転遊具の上に寝かされた赤ん坊を狙うシーン。オーウェンが遠くから遊具の細い鉄柵を撃ちつづけて遊具を回転させ、ジアマッティに狙いを定められなくする。そんなこと、いくら名人だって不可能だろう。って言っても始まらないのだ、この映画は。

おまけにオーウェンとベルッチがセックスの最中に敵に襲われ、2人で回転しながら敵をやっつけるなんて大サービスもある(町山説ではこれ「座頭市」の引用)。

と書いてくれば想像つくように、これ『キル・ビル』『シン・シティ』系列の映画で、『キル・ビル』も『シン・シティ』もBムービーのテイストを取り入れながらAクラスの仕上がりだったけど、これは仕上がりもBクラス。でも、座頭市じゃないけど出来の悪いプログラム・ピクチャーを過去に山のように見た記憶がある当方としては、これはこれでいいじゃないと思ってしまう。

ともかく役者を見ているだけで飽きない。クライブ・オーウェンは『シン・シティ』につづいて、コミックの主役みたいな役どころを苦虫を噛みつぶしたような顔でところどころ突っ込みを入れながら楽しげに演じてる。

いちばんいいのはポール・ジアマッティ。小柄で頭が薄くなった彼は、情けない中年男や負け犬をやらせたらピカ一(『サイドウェイ』は最高)。それが黒ずくめに決めて謎の殺し屋のボスを怪演してる。途中、「なんたらかんたら、サイドウェイ」と僕には分らないギャグを飛ばしてた。何人かが笑ったのは、『サイドウェイ』を見てるマニアックな観客だろう。悔しい!

そしてモニカ・ベルッチ。高級娼婦をやらせて彼女ほど似合う女優はいないよね。そろそろ眼尻に皺も目立つけど、魅力たっぷりに加えて前述の大サービス。彼女、今は押しも押されぬ女優なのに、こういう映画に出て相変わらずサービスしてくれるのが嬉しい。

というわけで、途中ちょっと退屈もしたけど、シニア料金7.5ドルでたっぷりお釣りがきた映画でした。

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2007年9月23日 (日)

チャイナタウンの鍋貼

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チャイナタウンをうろうろしていたら小腹がすいてきたので、yuccaさんに教えていただいた老山東の鍋貼(焼き餃子)。5つで1ドル。酸辣湯もおいしそうだったけど、この次の楽しみに。

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2007年9月22日 (土)

『イースタン・プロミセズ(EASTERN PROMISES)』

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デヴィッド・クローネンバーグ監督の新作『イースタン・プロミセズ(EASTERN PROMISES)』を見た。クローネンバーグらしいといえばらしい、一方、クローネンバーグらしからぬところもある、そんな映画だった。

最初、日本語字幕なしでどこまでついていけるか不安だった。そして、せりふの細部が(観客が笑う部分に限って)悔しいことに理解できないんだけど、大筋は分りやすい映画なのが助かった。

この映画が「分かりやすかった」ことには説明がいる。

理由のひとつは、僕の英語力の問題。登場人物の大部分がロシア・東欧系のマフィアという設定なので、彼らがネイティブのものではない、それだけに理解しやすい英語を話している。おまけに彼らはしばしばロシア語で会話し、そこには英語字幕が入る。僕らの世代の英語教育はもっぱら読み書きに特化してたから、英語字幕があるとぐんと楽になる。ロンドンを舞台にしたイギリス英語であることも、僕らの世代には分りやすい。

もうひとつは、スタイルの問題とでもいうか。助産婦のナオミ・ワッツが救急で運び込まれた娘の出産を手がけ、赤ん坊は助かるが娘(娼婦)は死んでしまう。ナオミが死んだ娼婦の身元を調べはじめることでストーリーが進行する。

娼婦がつけていた日記(マフィアの秘密に触れている)を読むかたちでナレーションが入り、それが事件の背景を説明することになる。でもナレーションの説明的な効果は、時に映像それ自体の喚起力を奪う。この場合も、ナレーションを入れて「分かりやすく」なった分だけ、クローネンバーグらしさが削がれたような気がする。

「分りやすかった」いまひとつの理由は、映画のテーマにもかかわってくる。『イースタン・プロミセズ』は、意外にもヒューマンなラブロマンスという側面も持つ映画なのだった。

こっちはまさかクローネンバーグがラブロマンスを撮るとは思わないから、そして途中まで映画はそんな気配を見せないから、凡百のハリウッド映画みたいなハッピーエンドで終わるわけではないけど、ちょっと肩すかしを食ったような気がした。それが、クローネンバーグらしからぬ、と感じた理由だろう。

もちろん、クローネンバーグらしさは画面全体にあふれている。

ナイフで喉を掻ききる。カッターで手指を切断する。素っ裸のヴィゴ・モーテンセンとナイフを持ったギャング2人が公衆浴場で激しく格闘し、ギャングがナイフで目を突きさされて死ぬ。銃で殺すのではない、肉体を痛めつけて見る者の感覚を逆撫でするクローネンバーグらしい残虐シーンが続く。

ヴィゴ・モーテンセンが体中にタトゥを入れて秘密結社のメンバーになることを許される東方的な秘儀(イースタン・プロミセズ)のシーンも、いかにもクローネンバーグ好み。

そしてロンドンのロシア人街なのだろう、煤けたダウンタウンの雨の夜。入口は普通のドアなのに、中に入ると一転して深紅のビロードの椅子が印象的なロシア・レストラン、しかもそこがロシア・マフィアの巣窟でもあるという、カードを何枚もめくるようなクローネンバーグのたくらみ。

それだけでもたっぷり楽しめるんだけど、やや不満が残ったのは、前作『ヒストリー・オブ・バイオレンス』の印象が強烈すぎたからだろう。

『ヒストリー』の冒頭から漂っていた、異様な静けさのなかの暴力の気配。絵にかいたような幸せな家族の背後にある隠された過去。過去から再び現在に帰ってきたヴィゴ・モーテンセンと、それを迎える家族の表情。クローネンバーグのなかでも好きな1本だっただけに、そして「ヴィレッジ・ヴォイス」や「タイム・アウト」誌のレヴューも『ヒストリー』を引き合いに出していただけに、期待が大きかったのだ。

もちろん、クローネンバーグらしさを十分に楽しめる。ただ、ヒューマンなドラマという側面を持ったぶん、ちょっとだけ普通の映画に近づいたかも。

ジーンズ地の黒いコートでバイクにまたがるナオミ・ワッツが素敵だ。オールバックで無表情に決めたヴィゴ・モーテンセンは、かつてのジェレミー・アイアンズみたいに、クローネンバーグ映画の空気を一身に体現してる。

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2007年9月21日 (金)

リトル・イタリーのフィエスタ

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リトル・イタリー(というより、リトル・イタリーに進出したチャイナ・タウン)に買い物にいったら、フィエスタでにぎわっていた。教会のあるマルベリー通りを中心に、両側にテントの露店が出て焼ソーセージなんかを売っている。小さいながら観覧車もある。

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見世物小屋が出ていて、「へび女」というのは世界共通の出し物だね。けらけら笑いながら小屋を出てきた女性3人組は、

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隣の世界最小「てのひら(掌)女?」の小屋にも吸い込まれていった。

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2007年9月20日 (木)

ロリンズを聴く

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カーネギーホールへ、ソニー・ロリンズを聴きに行く。

50周年記念コンサートとあったので、何が50周年なんだろう、50年前の1957年といえばロリンズはもう人気絶頂のはずと思ったら、この年にロリンズがはじめてカーネギーホールに出たんだって。それから50年。

ホールにはアフリカ系の老人や知的な風貌の白人、若いカップル、いろんな人たちが詰めかけて、ほぼ満員だった。僕は会場のいちばん上、バルコニーの2列目に座ったんだけど、エレベーターのないここまで(3階分くらい)、杖をついたアフリカ系の老人が休み休み急な階段を昇ってくるのが印象的だった。

ファースト・セットはロイ・ヘインズ(ds)、クリスチャン・マクブライド(b)とのトリオという豪華版。ピアノレス・トリオは、ロリンズ初期の傑作「ウェイ・アウト・ウェスト」やヴィレッジ・ヴァンガードのライブ盤と同じスタイルで、これを再現したんだね。

ロリンズ御大は痛々しいほどに右足を引きずって舞台に現れた。去年の日本公演に「引退コンサート」とキャッチがつけられたのは、わしゃもう足が痛くて外国によう行かん、ってことだったんだろう。でも、音を出しはじめるといつもの豪快で、伸びやかで、温かいビッグトーンに、ああ、ロリンズの音は変わってないと思う。

ヴァンガード盤でも聞けた「Sonnymoon for Two」で入り、「Some Enchanted Evening」で美しいバラードを聞かせ、十八番の「Moritat」で締めくくる大サービス。もっとも昔みたいにロリンズがひとり吹きまくるんじゃなく、先輩のロイ・ヘインズもちゃんと立てていた。ヘインズは、今年77歳のロリンズより5つ上の82歳。さすがにドラムの音にも力がない。マクブライドは、いつもと違って控え目に大先輩2人をサポート。

セカンド・セットはクリフトン・アンダーソン(tb)、ボブ・クランショー(b)らレギュラー・メンバーのセクステットを従えて。何を演奏するか、曲の打ち合わせもないらしく、ロリンズが頭のメロディを1小節吹くと、全員がそれに合わせて演奏がはじまる。2曲目、カリブのカーニバルを思わせるダンサブルな曲は頭のテーマからアドリブへ、再びテーマへとロリンズが一人で吹きまくり、やっぱりロリンズはこういうワンマンが似合うよね、と妙に納得する。

足を引きずりながらも、2セットとも立ちっぱなしの2時間。いつもエンディングでやる曲(タイトル失念)で、最後に彼独特のぶりぶりと野太いトーンが長くつづいてコンサートが終わったときには、全員がスタンディング・オベーションでロリンズを讃えた。

真の意味での最後のジャズ・ジャイアントをカーネギー・ホールで聴けて大満足。と同時に、僕はこの先、ロリンズを聴く機会があるだろうかと、一抹の寂しさも感じながらホール脇の地下鉄の階段を降りた。

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2007年9月18日 (火)

地下鉄車内のエスニック度

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(最寄の地下鉄デカルブ・アヴェニュー駅)

デカルブ駅で快速のQ線に乗る。エスニックが混在しているブルックリンの地下鉄にどんな人々が乗っているか、3日ほどメモしてみた。

ただし、エスニシティの分類は適当なものだし、誰がどのエスニシティに属しているかは見た目の印象によっている。特に中南米系(ヒスパニック)は白人と区別がつかない人もいるし、アフリカ系と見まがう人もいる。白人と判断した人が目の前で携帯を取り出し、スペイン語で話しはじめたこともある。またユダヤ系も、ユダヤ教徒と一目で分かる服装をしている人のみ。まあ、その程度のものとお考えください。

         9月11日      14日      17日

白人        10                    7         11

アフリカ系     10                  11          5 

中南米系      4                   0                    3

東洋系        2                   2                    3

ユダヤ系       1                   0                    1   

アラブ系        0                   1                    1

計          27        21                24

もう少しいろんなエスニックが混在してると思ってたけど、こうして見るとやはり白人とアフリカ系が多いんだね。

朝のQ線は、ちゃんとした勤め人といった感じの人が多い。チャイナタウンからブロードウェイを通ってミッドタウンへ行くQ線の性格もあるかもしれない。似た路線でも各駅停車のR線だと、ニューヨーク大学やヴィレッジが近い8丁目駅に止まるから明らかに学生や若い人が多くなる。

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2007年9月17日 (月)

今週の映画ラインアップ

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(「タイム・アウト」誌の広告)

日曜には映画へ行こうと思ってたら、風邪をひいてしまった。先週、友人と行ったブルックリンのレストランがぎんぎんに冷房がきいてて、ジャケットを用意してたんだけど、それでも出るときには冷えきっていた。

で、週末は休養にあてることにして、映画は断念。悔しまぎれに、情報誌「タイム・アウト」と「ヴィレッジ・ヴォイス」であれこれ迷った、今週の映画ラインアップを紹介しよう。

今週公開の新作のなかで、いちばん面白そうなのが『Eastern Promises』。デヴィッド・クローネンバーグ監督の新作で、前作『ヒストリー・オブ・バイオレンス』につづいてヴィゴ・モーテンセン主演。共演はナオミ・ワッツで、ロンドンのロシア人裏社会を舞台にした犯罪スリラー。

モーテンセンはウクライナ人ギャング、ワッツは病院に勤める助産婦で、彼女が助けた赤ん坊をめぐってストーリーが展開するらしい。「タイム・アウト」「ヴォイス」両誌とも前作との関連を指摘してるから、『ヒストリー・オブ・バイオレンス』の雰囲気だと思えばいいのかな。『ヒストリー』はクローネンバーグの作品のなかでも好きな1本だったから、期待は大。

あと今週公開で面白そうなのはポール・ハギス監督の『in the Vally of Elah』。主演はトミー・リー・ジョーンズ、シャーリーズ・セロンにスーザン・サランドンと、アカデミー賞俳優をそろえている。イラク戦争を素材にしたシリアスなドラマのようだ。

ほかにジョディ・フォスター主演の『The Brave One』(ニール・ジョーダン監督)も気になる。

いま公開中でちょっと気を引かれるのが『Shoot 'Em Up』(マイケル・ディヴィス監督)。タイトルは、どいつもこいつも撃ち殺せ! みたいな感じで、町山智浩(彼の「アメリカ日記」に詳しく紹介されてます)の表現を借りれば「撃って撃って撃ちまくる大馬鹿ガンプレイ映画」。

ストーリーらしいストーリーもなく、ジョン・ウー映画ふうに決めたクライブ・オーウェンがただただ撃ちまくるだけの映画らしいけど、モニカ・ベルッチ共演というのがくすぐられる。

ヴィレッジ誌の広告には「今シーズン最初のギルティ・プレジャー(後ろめたさを感じつつも止められない楽しみ)」とあった。

マイナーなところでは、「The Dark Tales of Zeki Demirkubuz」というトルコの監督(ゼキ・デミルクブズ?とでも発音するのか)の特集があって、1994年から2003年までの作品7本が上映される。僕はこの監督の映画を見たことないけど、このところトルコ映画は秀作があるから、こちらも気になる。

でも、何本見られるかなあ?

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2007年9月16日 (日)

ブルックリンご近所探索

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マンハッタン橋からつづく大通りフラット・ブッシュ・アヴェニューを、今まで行ったことのない南に歩いてみた。5分ほどで、アパートの窓からもよく見える、このあたりのランドマークのような高層ビルに行きあたった。

このビルは昔からブルックリンでいちばん高いビルで、マンハッタンのクライスラー・ビルに相当する名建築らしい。元はウィリアムズバーグ銀行だったそうだが、現在は全館をコンドミニアムに改装中。だから残念なことに、肝心のビル頂上の装飾が黒いカバーに覆われて見えない。わずかに見える部分から推測すると、金に縁取られた赤い半球の装飾がついているようだ。

僕が住んでいるあいだに完成して、その姿を見ることができるだろうか。

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ブルックリンには低層の古い建築がたくさん残っている。これは元のパブリック・スクール(ドアの上に、そう浮き彫りされている)。今はメトロポリタン・コーポレイティブ・アソシエーション。

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アトランティック・アヴェニュー駅の駅舎。鉄道や地下鉄が何本も乗り入れている駅で、1908年に建設されたもの。2004年まで使われ、今は歴史的建造物として保存されている。

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2007年9月15日 (土)

郊外へ

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休暇で遊びに来た高校時代の友人K夫妻と、同じ仲間でこちらに35年以上住んでいるIの家をニューヨーク近郊に訪ねた。

Iの車に乗せてもらい、まずはマンハッタン北端に近いクロイスターズ美術館(メトロポリタン美術館分館)を見学。

中世の修道院を模した建物は、もともとロックフェラー家が中世ヨーロッパの美術品を買い、それを収蔵するために建設したもの。中身にあわせて容器をつくる、王侯貴族のような贅沢はロックフェラーのような金持ちでないとできないね。こじんまりした、いい美術館。もともと要塞があった高台で、庭に出るとハドソン河が見下ろせる。

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車でブロンクスを抜け、北へ向う。ニューヨークの市街を抜けると、いきなり緑の濃い風景が展開するのは、東京や大阪の感覚からすると意外でもあり新鮮でもある。

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ニューヨーク州チャパカ町。Iの家の近所にある、クリントン前(次期?)大統領の家の前を通る。

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Iの家の近所で。このあたりは、1軒1軒が広い敷地のなかにある高級住宅地。

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Iはバイオリニストで、この日もヨーロッパ演奏旅行から帰ってきたばかり。バーベキューをご馳走になっていたら、きれいな夕焼けが。木々もそろそろ色づきはじめ、秋の気配を感じさせる透明な空気をいっぱいに吸い込んだ。ニューヨークの秋はいちばんいい季節だと言われるけど、それを先取りしたような1日。

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2007年9月12日 (水)

6年目の9・11

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(追悼式の中継がはじまった。午前8時45分)

6年目の9・11に、たまたまニューヨークに居合わせることになった。

僕はアメリカ合衆国の国民ではないから、9・11以後の世界がどうなっているかを考えると、死者を悼む感情はあっても彼らとまったく同じ気持でこの日を迎えることはできない。かといって、21世紀がどのような時代になるかを誰にも分かるかたちで示したこの日を、なにもしないでやり過ごすのもためらわれる。

いくつかの選択肢を考えた末、今日から始まった写真展「here is new york: remembering 9/11」を見に行くことにした(ニューヨーク歴史協会)。

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1500人以上の人々が撮影した9・11とそれに続く日々を、撮影者が有名無名にかかわらずすべて同じ大きさにプリントし、クリップで無造作に壁から吊るした展示。

プリントの大小や並べ方による価値づけを排除し、会場の空間全体を無数の等価な写真で埋めることによって、9・11がどのような体験だったかを視覚的に再現しようとしている。

僕たちがメディアを通して知った、市民の衝撃、悲しみ、献身、共感といった感情が会場を支配しているなかで、いくらかトーンの異なる写真に引き寄せられた。

例えば、ジョン・ウェインの等身大の人形の首にかけられた、「今はカウボーイの出番ではない」という看板。「悲劇を戦争に転化させるな」というポスター。「隣人のムスリムを傷つけるな」の張り紙。

外から見ていると、9・11以後のアメリカはブッシュ大統領が声高に叫んだ「テロとの戦い」一色に塗り込められた印象があるけれど、近寄ってみると、そこにはひといろに染められない多様な声があったことが記録されている。

そのことを確認できただけでも、ここまで足を運んだ甲斐があった。

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2007年9月11日 (火)

地下鉄車内のユダヤ教徒度

今朝もデカルブ駅で地下鉄に乗ったが、Q線は混んでいて座れない。立って周りを見回したら、頭にキッパという小さな黒い帽子をつけたユダヤ教徒が目についた。

その数は視野に入る24人中4人。

かなりの割合だと思う。もっとも、いつもこうなわけではない。今日は特に多かったからこそ気がついた。4人の服装は、黒いパンツは共通で、上半身のシャツは、4人のうち2人が白いワイシャツ、1人がカラー・シャツ、残りの1人はポロ・シャツ。

電車に乗る前、ホームには黒いシルク・ハットに黒い長い丈のスーツ、髭ともみあげを伸ばした、もっと厳格な教徒もいた。

キッパをつけているのは正統派ユダヤ教徒、厳格な服装をしているのは超正統派の教徒らしい。アメリカは厳格な服装やキッパにもこだわらない改革派が主流を占めているらしいけど、ブルックリンには正統派ユダヤ教徒のコミュニティーがあることをyuccaさんに教えられた。

そのうち訪れてみたい。

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2007年9月10日 (月)

地下鉄車内の肥満度

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(アパートを出てすぐの歩道に彫られたいたずら書き)

こちらへ来て3週間ほどなのに、老眼が進んだような気がする。

原因は照明が暗いこと。リビング・ルームは間接照明で、テーブルにスタンドがあるんだけど、ついテーブルまで行かずにソファーで間接照明のまま本や雑誌を読んでしまう。しばらくすると目が痛くなってくる。

地下鉄も同じ。こちらも日本の地下鉄に比べてかなり暗く、10分も活字を追っていると目が痛くなる。でも車内で活字を読んでいる人は多いのは、前に書いた通り。

そこで地下鉄で活字を読むのは止めにして、ヒューマン・ウォッチングに徹することにした。

今朝の地下鉄。視界に入る21人のうち、肥満は5人。肥満といっても、日本人の基準でいえば「超」のつく肥満。みな、座席からはみだしそうに座っている。21人中5人はかなりの率だと思うが、ニューヨークは他の地域、特に田舎に比べると肥満が少ないんだそうだ。

ときどき、ベッドから起き上がれなくなってしまった人のニュースが日本でも伝えられる。そこまで行かなくとも、似た例はけっこうあるらしい。車社会にジャンク・フード。スーパーへ買い物にいっても、スナック類の袋の巨大さには驚く。

ところで同じ日本人の基準といっても、若い女性が肥満だと考える基準をあてはめれば、地下鉄車内21人のほぼ全員が肥満になってしまいそうだ。これはたぶん日本の若い女性の基準のほうが例外なので、東京でときどき見かける子供みたいに手足の細い女性は、こちらではほとんど見かけない。

若い女性もたいてい、お腹がちょっと出たり、健康的なお尻だったりして、それを気にするふうもない。この弱肉強食の世界では、「弱肉」では生きていけないのかもしれないな。

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2007年9月 9日 (日)

ジャズ・クラブの母娘

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オーナーのリリス(右)と娘のティーシャ

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Hさん夫妻のライブがあるので、一緒にブルックリンの「ジャズ・スポット」へ。ここへ行くのは2度目で、前回は夫妻がジャム・セッションに参加したんだけど、今回はHさんのヴォーカル。ご主人のRさんらがトリオでバックを務める。

途中からふらりとやってきたアルト・サックスが参加し、互いに刺激しあうのが目に見えて(耳に聞こえて)、音がドライブする。ブラジルの作曲家アントニオ・カルロス・ジョビンの曲「メディテーション」が歌も演奏も最高だった。

この小さなジャズ・クラブは、アフリカ系のリリスと娘のティーシャが2人でやっている。月曜と土曜の夜と、週2日だけのライブ。有名クラブのように高額なカバー・チャージを取るわけではないから、政府からの補助があるとはいえ経営が楽であるはずがない。

でも2人とも本当に音楽が好きで、リリスもティーシャもカウンターの中で音に合わせて踊っている。帰り際、また来ますと言ったら、リリスが僕の両頬にキスしてくれた。

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2007年9月 8日 (土)

チャイナタウンのフォー

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ご近所であることが分かった「Yucca in Brooklyn」のYuccaさんに教えていただいた、チャイナタウンのフォー屋「鵬(フォー・バン)」のフォー。添えられたバジル、もやしを添え、レモンをしぼって食べる。

特有のあっさりスープのなかに濃密なコクがある。具の牛のもも肉や胃袋も味がある。ヴェトナムに行ったとき毎日のように食べた味を思い出した。チャイナタウンには、中国系ヴェトナム人がやっているこんなレストランがたくさんある。

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アパートに近いロング・アイランド大学前の広場で。アフリカ系の女の子が散水器の水とキャーキャー言いながらたわむれていた。

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2007年9月 7日 (金)

2つの写真展

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6番街と42丁目の角にある国際写真センター(ICP)に写真展を見にいく。「Let Your Motto Be Resistance」というアフリカ系アメリカ人のポートレート展と、スティーブン・ショアの1969~79年の作品展。

「Let Your Motto Be Resistance」は、奴隷だった時代の無名の男たちの肖像写真から、ルイ・アームストロングらのミュージシャン、モハメド・アリらスポーツ選手、キング牧師やマルコムXといった政治家まで、僕らが知っているアフリカ系有名人のポートレートが網羅されている。

撮影したのは有名無名の写真家たちで、僕らが知っているところではアーヴィング・ペン「ジェシー・ノーマン」、ロバート・メイプルソープ「グレゴリー・ハインズ」、アフリカ系写真家ゴードン・パークスの「モハメド・アリ」「アンジェラ・デービス」、ゲイリー・ウィノグラント「ジャッキー・ロビンソン」、ブルース・デビッドソン「ダイアナ・ロス(シュープリームス)」、珍しいところではレニ・リーフェンシュタール「ジェシー・オーエンス」といった作品もある。

彼らの写真は、それぞれの写真家のスタイルで、対象の個性的な瞬間を捉えていて楽しい。

マルコムXが1人で街頭でビラを配っている写真は忘れがたい。ナット・キング・コールが白人客の前で伏し目がちに微笑んでいる写真も印象的だ。個人的には、1950~60年代の映画女優でジャズ歌手でもあったドロシー・ダンドリッジ(すごい美人。歌も憂いがあって素敵です)のポートレートがあったのが嬉しかった。

スティーブン・ショア展は、代表作である「American Surface」「Uncommon Places」の中軸をなす1970年代の作品群。その後のカラー写真隆盛のきっかけとなった作品群を撮り始める直前のモノクロームも展示されている。ストリート・スナップでも、彼独特のクールな印象。

カラーで撮られたモーテルの看板や、田舎町の交差点や、道端の車や、アメリカン・スタイルの家々は、今のアメリカ人が見れば「70年代の懐かしいアメリカ原風景」なんだろうけど、対象から距離を保ったどの写真からもノスタルジーというよりもう少し切迫した息遣いが感じられて、彼がロバート・フランクの「アメリカ人」を70年代に追体験しようとしているのがよく分かる。

さすがにICPの写真展は充実していて、これからもここへ頻繁に来ることになりそうだ。

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2007年9月 6日 (木)

ブロードウェイの公園

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午前10時前。ブロードウェイと6番街に挟まれた32丁目のグリーンリイ・スクエア・パークでひと休み。いたるところに、こういう小さな公園があっていい。人々が遅い朝食を取っている。見上げると、エンパイア・ステート・ビルのてっぺんが見えた。

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2007年9月 4日 (火)

ブルックリン橋

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車でブルックリン橋を渡る

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地下鉄Q線から。いつも使うR線は地下トンネルでイースト・リバーを渡るけど、Q線はマンハッタン橋を渡る。この線から見えるブルックリン橋と摩天楼がいい

エンパイア・ステート・ビルやクライスラー・ビルとともに19世紀から20世紀初頭のニューヨークの発展を象徴するこの橋を初めて意識したのは、大好きな写真家ウォーカー・エヴァンスの写真集だった。

彼の写真は、吊り橋であるブルックリン橋の、巨大な石造の橋脚と無数の鋼鉄線がつくる美しい造形を見事に捉えている。その後、この橋がニューヨークのランドマークのひとつになり、絵葉書にまでなったのは、エヴァンスの写真がイメージの元になったのではないかな。

朝9時。Q線は混んでいて座れない。視界に入る21人の乗客が何をやっているか観察してみた。

単行本を読む人     4人

雑誌を読む人       3人

i-podを聴いている人   3人

新聞を読む人      2人

書類を読む人      1人

あとの人は眼をつぶっているか、何もしていないか。日本の車内風景とはだいぶ違うね。僕の前に立っていた学生ふうの男の子が読んでいた単行本はトマス・ピンチョンだった。

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2007年9月 3日 (月)

やられた!

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(窓からの眺め。朝焼け)

今日はレイバー・デイの祝日だけど、語学学校が始まる。友人のHさんは「レイバー・デイから始まるの? 変ね」と言ったけど、何度見直しても、もらったプリントには9月3日午前9時40分に来るように、と書いてある。

外国人の生徒にはレイバー・デイは関係ないってことか、と思いながら地下鉄で40分かかって(休日で地下鉄がなかなか来ない)学校に行くと、なんとドアが閉まっているではないか。ドアには「今日はレイバー・デイで休みです。火曜の午前8時に来てください」と張り紙があるではないか。

やられた! と思いましたね。こちらへ来て、いろんなことがちゃんとしてないのには少しずつ慣れてきたけど、またか、って感じ。おそらくプリントを渡してくれたカウンセラー(1週間前に来た時、手紙を書いてほしい、書けないと押し問答した女性)のミスだろうけど、それにしても休日にここまで来て、と腹立たしい。

そのまま帰るのはしゃくなので、ペン・ステーションの周辺を歩き回って帰る。(後記。翌日、受付の女性にプリントを見せて、あなたがたが間違えたと言ったら、「そう。でも私じゃない」の一言だった)

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2007年9月 2日 (日)

『エグザイルド(放逐)』を見に行く

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(アンジェリカ・フィルム・センターのカフェ)

今日は日曜だし、昨日は朝から晩まで10日分のブログのアップに追われたので、気分を変えて映画でも見に行こうと思った。

「ヴィレッジ・ヴォイス」と情報誌「タイム・アウト」で目をつけていたのが香港映画『エグザイルド(放逐)』。このところ絶好調のジョニー・トー監督の作品で、2日前から公開されている。

「ヴォイス」では映画欄の巻頭で特集され、「タイム・アウト」でも今週公開の新作では最高の4つ星評価がついていた(ちなみに、今週号の最高評価はリバイバル上映『フレンチ・コネクション』の5つ星。そりゃそうだよね、名作だもん)。

映画館はグリニッチ・ヴィレッジに近いアンジェリカ・フィルム・センター。どちらかといえばインデペンデント系を上映する映画館のようだ。4つのスクリーンを持ち、ほかに「2DAYS IN PARIS」、サンダンス映画祭で賞を取った「MANDA BARA」などを上映していた。

チケット(11ドル)を買って中に入ると、古い映画のポスターが貼られた、しゃれたカフェがある。始まるまで1時間弱、コーヒーを飲みながらフリーペーパー「ニューヨーク・プレス」をひろい読み。ここでも「エグザイルド」が大きく取り上げられている。

上映10分前に館内に入場すると、まだ暗くなっていない場内にはスクリーンにクイズが流れていた。

「コーエン兄弟の映画にブシェーミは何本出演しているか?」

「コッポラはカンヌのパルムドールを何回取ったか?」

「トニー・レオンとマギー・チャンの共演をいちばんたくさん撮っている監督は誰か?」

うーん、まさしくこれはマニア向けの質問だね(30秒ほどすると答えが出る。正解は5本、2本、ウォン・カーウァイ)。最後のだけしか当たらなかった。

『エグザイルド』について、英語字幕がすべて理解できたわけじゃないから思わぬ勘違いがあるかもしれず、以前のブログで書いていたような感想を書くのはやめる。ただ、大いに笑い、涙し、ジョニー・トーの作品のなかでいちばん楽しめたことは間違いない。

「NYプレス」の評がマカロニ・ウェスタンを引き合いに出してたけど、確かに本家のウェスタンや、それを劇画ぽくパターン化したマカロニ・ウェスタンを、さらに「型」にはめて、現代の香港(マカオ)に引きなおした感じ。その意味で、タランティーノの『キル・ビル2』に通ずるものもある。

いつもながら冒頭でたくさんの銃弾が飛び交うシーンの後に、「じゃあ座って話し合おうじゃないか」「でも座ろうにも椅子がない」という感じで、敵味方が一緒になって家財道具を運び込むあたりから、笑いがやってくる。

「型」を徹底させればシニカルな笑いを誘うパロディに近くなってくるけど、この笑いはそうではなく、人の気持ちを和らげる笑いで、そのことが映画をパロディにすることから救っている。コインや缶など小道具を使った笑いも、定石通りとはいえうまい。

(以下、ややネタばれ)途中で仲間の一人が死に、ここから友情・復讐の物語が加速するかと思っていたら、映画は一直線にそちらには行かず、宝探し+ロードムービーの要素が入ってくる。『ヴェラクルス』か『ワイルドバンチ』かといったところ。

がちがちの復讐・友情譚にしなかったのが、ジョニー・トーの余裕というか、楽しめる映画になったところだね。アメリカ人の観客(40人くらい)も大いに笑っていた。

最後、これも定石通りとはいえ、蹴り上げた缶が落下する間のスローモーションの銃撃シーンが快い。

映画館を出て、近くのソーホーを散歩。日曜日とあって、人でいっぱい。話には聞いていたけど、すっかり繁華街になってブランド・ショップばかり。ギャラリーはほとんどない。アートの香りは、かろうじて路上にかすかに残っているような気がした。

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2007年9月 1日 (土)

やっとネットにつながった!

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昨日、やっとタイム・ワーナー・ケーブルの技術者が来て、ケーブルTVと電話とインターネットが入った。ニューヨークに来た翌日の8月22日に、Hさんの手をわずらわせて契約したいと電話してもらったら、工事はいちばん早くて9日後の31日になるという。「前に問い合わせたときは2、3日で入ると言ってたのに。これもアメリカよ」と、彼女。

9月18日にカーネギー・ホールでソニー・ロリンズのコンサートが開かれることを知り、地下鉄でチケットを買いに行ったけど、祝日レイバー・デイ前の週末ということで閉まっている。はす向かいのカフェでコーヒーを飲んでいたら、カーネギー・ホールを描いている日曜画家がいた。

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