ハーレムへ
夜、友人のHさんに誘われてハーレムのジャズ・クラブ「バタフライ・ブルー」へ。滞在2日目でハーレムに行くとは思っていなかったから、Hさんの誘いに喜んで乗った。
地下鉄A線(Take the A Trainだね)の145丁目駅から歩いて7、8分。演奏が始まる午後7時半はまだ窓の外は明るく、ハーレムの街路を人々がゆったり散歩しているなかでジャズを聴くのが、夜の密室的雰囲気の東京のライブハウスとは別の趣があって新鮮だった。
メルヴィン・ヴィニース・カルテットと、彼の奥方であるモリ・ケイさんのボーカル。メルヴィンのトランペットとコルネットが、音数の多くない、すがれたトーンで聴かせる。若いキーボードの男の子もエキサイティングな演奏だった。一緒に行ったHさんもジャズ・ヴォーカリストで、客席から引っ張りだされて1曲歌う。
この店はミュージック・チャージを取らず、食事代だけ。カウンターに座って食事を取らなければ飲み物代だけですむ。
「有名な店だけじゃなく、チャージなしでこんなジャズが聴けるところがたくさんあるよ。でもミュージシャンにはそんなに払われないから、ミュージシャンは苦しいけどね。需要と供給の関係で、NYにはどんなに安くても演奏できればというミュージシャンが世界中から集まってきているから」
と、自分も歌手であるHさん。今日がこの店での最後の演奏というケイさんのために募金箱が回ってきたので、数ドルを入れる。
ハーレムに住んでいるケイさんの話では、このあたりも再開発で次々にコンドミニアムが建ち、それを買うのはほとんどが白人だそうだ。アフリカ系はいまやハーレムに住めなくなってきているとか。かつてアフリカ系住民がダウンタウンの再開発で追われ、郊外の高級住宅街だったハーレムに移り住んだように、いつか彼らがハーレムに住めなくなる日が来るんだろうか。
確かに夜の145丁目駅はアフリカ系ばかりでなく、白人や東洋人も多い。コロンビア大学やジュリアード音楽院も近いから、日本の学生もけっこういるようだ。
今日はHさんのアフリカ系の友人・Gさんが一緒だったこともあり、夜のハーレムを心配なく歩くことができた。ハーレムやニューヨーク全体が安全になるのは喜ばしいし歓迎すべきことだけど、背後ではそんな事態が進行していることを知っておきたいね。
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