「みちのく いとしい仏たち」展
ほっとする展覧会を見た。「みちのく いとしい仏たち」展(~2月12日、東京駅・東京ステーションギャラリー)。素晴らしさに惚れ惚れしたり、勉強になったりもいいが、たまにこういう展覧会もいい。青森や岩手の村のお堂や祠や農家の神棚に祀られる仏や神が130点。奈良や京都の寺にある洗練された仏像と違う、素朴で粗削りな仏たちだ。
はにかむような笑みを浮かべた山神像(写真)。ちっとも怖くない不動明王像。三途の川で助けてと拝む童子跪坐像。隣のおじさんのような地蔵菩薩。かっこつけた若衆みたいな鬼形像。母のまなざしで子を抱く子安観音坐像。どれもこれも、なんとも豊かな表情をしていらっしゃる。立派なお寺でなく生活の隣にいて、日々の喜怒哀楽にそっと寄り添っているような。
平安から江戸時代にかけて、専門の仏師でなく土地の船大工や木地師によって彫られた。北東北には、こういう民間仏がまだたくさん残っているらしい。こんな仏たちを風土のなかで眺める旅をしたくなった。
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