April 11, 2024

菊地成孔ダブ・セクステット

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久しぶりにブルーノート東京へ出かけ、菊地成孔ダブ・セクステットを聞く(4月10日)。

今夜のライブは「リユニオン」と名づけられている。20年前に結成されたが、メンバーがみな自分のバンドを持っており、それぞれ忙しかったりコロナがあったからだろう、10年以上活動がなかった。菊地はこのバンドについて以前、現代的なマイルス・クインテットと言っていたと記憶する。コルトレーンやウェイン・ショーターがいたマイルス・クインテットは1960年代に活動したが、現代的なとは、その後のフリージャズや電化を経験したということだろう。サックス(菊地)、トランペット(類家心平)の2管にピアノトリオ、それにダブ・イフェクトのエンジニアが加わった6人編成。

メンバーが揃ってダークスーツにネクタイで登場したせいもあるか、みんないいおっさんになったなあ。でも演奏を始めると以前とまったく変わらない。曲名などMCもなく、ぶっつづけで5曲の白熱したプレイ。このグループに惹かれるのは、どんな激しい演奏であろうと菊地と類家の音色のよさと唄心が滲みでているから。

アンコールで1曲だけ若いラッパーが加わり、クールなジャズを聞かせてくれた。

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September 25, 2023

嶋津健一トリオ

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ジャズのライブへ出かけるのは4年ぶり。日曜の午後、嶋津健一トリオを聞く(横浜、FIRST)。1990年代にアメリカから帰ってきて以来、嶋津トリオは2度メンバーが変わっているけれど、加藤真一(b)、今村健太郎(ds)の今のトリオがいちばん面白い。スタンダードに加えて嶋津のオリジナル、クラシック、日本の歌曲と、いろんな曲を嶋津のスタイルで聞かせてくれる。「I remember Clifford」をリクエストし、しっとりしたバラードを楽しむ。

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September 02, 2023

DVD「DOUBLE RAINBOW」

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九州に住む友人から懐かしいDVDが送られてきた。「DOUBLE RAINBOW」。山下洋輔トリオ結成40年を記念したリユニオン・ライブ。2009年、日比谷野外音楽堂で開かれた。この日、1969年から14年間、第1期から第4期にいたるトリオのメンバーが集まって当時の曲を演奏した。DVDを送ってくれた友人とはニューヨークで知り合ったのだが、その友人夫妻、私とカミさんの4人でこのライブに参加した。途中にわか雨が降り、雨上がりに二本の虹がかかったことがタイトルになっている。


 


あのときの興奮が蘇る。山下(p)、中村誠一(ts)、森山威男(ds)の第1期トリオは1970年代に新宿ピットインで何度も聞いたから、いちばんなじみがある。第4期トリオ、亡くなった武田和命の代役として演奏した菊地成孔が武田の曲「Gentle November」で長い長いソロを吹き終えたとき、カミさんが感に堪えないような声で「いいわぁ」と呟いたのを映像を見ていて思い出した。これをきっかけに、カミさんとしばらく菊地成孔の追っかけになった。

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May 13, 2021

カーティス・フラーを悼む

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ジャズ・トロンボーンのカーティス・フラーが亡くなった。御年88歳。

フラーをはじめて聴いたのは大学時代。ジャズ喫茶に何時間もいるとたいてい1回はかかる人気盤『ブルース・エット』だった。フラーはじめベニー・ゴルソン(ts)、トミー・フラナガン(p)、ジミー・ギャリソン(b)の豪華メンバーで、1曲目の「ファイブ・スポット・アフター・ダーク」はテレビCMにも使われ、たいていの人が、ああ、あの曲、と分かる名曲名演奏。フラーの柔らかなトロンボーンとゴルソンの暖かなテナーが重なるハーモニーは、ハードバップを象徴する音のひとつだった。

十数年前にニューヨークに住んでいたとき、フラーが75歳バースデイコンサートと銘打たれたライブに出ると知ってブロードウェイの店に出かけた。写真はそのときのもの(2008年1月19日。イリディウム)。御大はすこし腰が曲がり、歩く姿も弱々しかった。出す音も、かつての艶と張りが薄れ、ややもっこり。もうバリバリの現役ではなかったんだろう。それでもエディ・ヘンダーソン(tp)らのサポートでかつての人気曲を次々に演奏してくれた。それだけで満足した記憶がある。もうフラーを聴く機会はないだろうなと、そのとき思った。そのとおりになってしまったが、今も『ブルース・エット』をかければフラーの音が蘇る。

 

 

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September 09, 2018

山下洋輔と森山威男

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山下洋輔と森山威男。1960~70年代初頭に疾走した山下洋輔トリオの二人が一緒に演奏するのを聞くのは四十数年ぶり。「中央線文化としてのフリージャズ~僕らは1970年に何を考えていたのか」(9月9日、座・高円寺2)にブック・ナビの相棒〈正〉君と行ってきた。二人とも当時の山下トリオを聞いている。

これはただのコンサートでなく、社会経済学者・松原隆一郎のプロデュース・司会による映像とトークと演奏。まずは山下と森山が中央線沿線に住み、ジャズと出会ったことが映像で紹介される。トークで浮き彫りになる、現代音楽に影響されたりナベサダ仕込みのバークリー・メソッドで理論的にフリージャズに接近した山下と、クラシックやフォービートに飽き足らず直観的にパワー全開を求めてフリージャズに行きついた森山の対照的なアプローチが面白い。共通していたのは、スイングするフリージャズを目指したこと。

次いで二人がそれぞれの手の内を明かす。森山が童謡の「故郷」を口ずさみながら、どうドラムを叩くかを実演。右手と左手の拍子のズレによって、独特の持続感が生まれる。次いで山下が、手くせがどんなふうに自分のフレーズになっていくかを実演。そんなふうに「音楽の秘密」を言葉にした後で、山下作曲の「キアズマ」を二人で。演奏が始まれば一瞬にして50年前の二人に戻り、二人とも70代後半のはずなのにあの時代の激しさと熱気とパワーがそのまま再現されて客席は陶然。いや、興奮した夜でした。


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July 03, 2018

ジャズ・ボーカル発表会

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カミさんが通っているジャズ・ボーカル教室の発表会で銀座・シグナスへ。皆さん実に楽しげに、入りを間違えても笑いとばして歌ってました。写真は、最後に先生の坪井紀美江さんが歌ってます。


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May 20, 2018

NYの友人と嶋津トリオを聞く

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ニューヨークで知り合ったジェラルドは毎年のように東京にやってくる。大のジャズ好き。今夜は三軒茶屋のウィスパーへ。ここのオーナーは写真家の内山繁さん。扉の前の壁には内山さんが撮ったマイルスの、室内にはジャコ・パストリアスの写真が飾ってある。出演する嶋津健一さんと記念撮影。

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今夜は嶋津健一(p)、加藤真一(b)、今村健太郎(ds)のレギュラー・トリオ。いつものように自作曲とスタンダードを半々で。リクエストをどうぞと言われ、店名の由来と見当をつけ「ウィスパー・ノット」をリクエストしたら、作曲したベニー・ゴルソン自筆の楽譜が壁にかかっていて、びっくり。内山さんがゴルソンからもらったそうだ。ジェラルドのリクエストは「チェロキー」で、嶋津がものすごいスピードで弾ききって盛り上がり、ジェラルドは「Amazing!」。大満足の一夜でした。


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January 30, 2018

嶋津健一トリオを聞く

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Shimazu Ken'ichi Trio libe

嶋津健一トリオのライブに出かけた(1月29日、青山・Body & Soul)。

嶋津は二つのトリオをもち、いろんなジャンルのミュージシャンと共演してるけど、僕はこのメンバーのトリオがいちばん好き。結成して3年目になるだろうか。もう10年以上組んでいるベースの加藤真一と、若いドラムスの今村健太郎と、互いの呼吸を飲み込み、アドリブのインタープレイがいよいよ熟してきたと感ずる。

嶋津のオリジナルとA.C.ジョビンとリクエストに応えてスタンダードと。オリジナル曲は、「ハラペコ」みたいなバップふうなものと、ゆったりと美しい旋律の和風(?)のものがある。スタンダードでは「朝日のようにさわやかに」で熱のこもったやりとり、「you don't know what love is」では見事なバラードを聞かせてくれました。アンコールは「嶋津の子守歌」(ジャズで「○○の子守歌」は名曲、名演ぞろい、自信がないとこういうタイトルつけられませんね)で、おやすみなさい。


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December 19, 2017

山下トリオ+類家心平を聞く

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このところ、若手のジャズ・プレイヤーでいちばん聞いているのがトランペットの類家心平。最初に聞いたのは菊地成孔ダブセクステットだった。このグループは1950年代マイルス・クインテットを現代化するというコンセプトなので、トランペットは当然大きくフィーチャーされる。その後、山下洋輔との共演も聞いた。菊地、山下といったごりごりの先輩ミュージシャンと対等にわたりあい、音色もすばらしい。

新宿PIT INNで「山下洋輔2DAYS」の2日目。山下トリオが1曲やった後に登場し、最初に演奏したのは「アイ・リメンバー・クリフォード」。夭折した天才トランぺッター、クリフォード・ブラウンの死を悼んでベニー・ゴルソンが作った名曲。山下が、この曲を演ろうと提案したそうだ。クリフォードの流麗な音とは正反対、フリーキーな音でのブロー。絞り出し、かすれたり、野太い音になったり。渾身のバラード。魂を揺するといえば大げさに過ぎるか。この曲はゴルソン自身の演奏をふくめたくさん聞いているけど、最上の演奏のひとつとして記憶に残るだろう。

「寿限無」など東京JAZZで聞いたナンバーだけでなく、はじめて聞いた山下ナンバーが面白かった。幻の映画音楽「幻灯辻馬車」(原作・山田風太郎。監督の岡本喜八が山下に依頼したあと亡くなった)の、ガス灯の下を馬車が駆けぬけるイメージを音にした明治の洋風リズム。ニューオリンズ・ジャズを山下ふうに取り込んだ「グルーヴィング・パレード」。9拍子でエスニックな「クルディッシュ・ダンス」。全員がめちゃくちゃにブローするイントロで、何が始まるかと思ったら「テイク・ジ・Aトレイン」のアンコールまで、楽しませてくれました。

ステージでも余裕たっぷり、サービス精神たっぷりの山下にくらべ、類家は自分の演奏が終わるとステージ中央で下を向き無表情に突っ立ったまま。目にかかる長い前髪を気怠くかきあげる姿は鬼太郎かブラック・ジャックか。いかにも音だけで勝負という姿がまたいい。


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September 02, 2017

東京ジャズ・フェスティバル

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The 16th Tokyo Jazz Festival

東京ジャズ・フェスティバルへ。2日午後のNHKホール。

山下洋輔 寿限無2017。山下トリオ<坂井紅介(b)、小笠原拓海(ds)>+ゲストで、1980年代のアルバム「寿限無」を再現。ゲストは1曲目・類家心平(tp)、2曲目・渡辺香津美(g)、3曲目・類家+菊池成孔(as)、4曲目の「寿限無」は全員にラップのOMSBが加わって大盛り上がり。豪華メンバーだが、若い類家のトランペットにしびれる。

ゴーゴー・ペンギン。英国のマンチェスターから来たピアノ・トリオ。テーマをテクノふうなリズムに乗せて延々と変奏する。モダン・ジャズで育った小生には退屈。

THE COREA / GADD BAND。チック・コリア、スティーブ・ガッドのリターン・トゥ・フォーエバーに若いメンバーが加わって。最後に「リターン・トゥ・フォーエバー」を演奏したのが懐かしくて。

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NHKホール外の屋外ステージでも演奏が。


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