『フォールガイ』と『ツイスターズ』
これだけ暑さが続くと、本を読んだりシリアスな映画を見るのが億劫になる。というわけで、楽しめそうな映画を2本つづけて見た。どちらもハリウッド映画だけど、これが当たり。2本とも映画館の大スクリーンで見てこその面白さだ。
『フォールガイ(原題:The Fall Guy)』は、スタントマンが主役のバックステージもの。大スター、トム(と言えば誰もアノ人を思い浮かべます)のスタントを務めるコルト(ライアン・ゴズリング)が映画製作をめぐる事件に巻き込まれる。怪我でスタントをやめたコルトが、元カノのカメラマン(エミリー・ブラント)が初監督作を撮るというので撮影現場に呼び戻される。現場に行くと主演のトムが行方不明。スタント・シーンを撮影しながらトムを探す羽目になる。
撮影現場でも、トム捜しでも、格闘、飛び降り、衣装に火をつけてのアクション、車を衝突させての7回転、カーチェイス、モーターボートでジャンプ、ヘリにぶらさがりなど、ありとあらゆるアクション・シーンを見せてくれる。なるほどこんなふうに撮ってるのかと、裏側が分かるのも面白い。ラスト近く、姿を現したトムがVFXの合成用ブルーバックの中で四駆を運転する演技をしていると、そこにコルトが現れて運転を代わり、実際にエンジンを始動させブルーバックを突き破ってロケ現場に飛び出してしまう。トムが悲鳴をあげる。VFX全盛のいま、ブラッド・ピットのスタントマン出身というデヴィッド・リーチ監督が、いつかやりたかったことなんだろうなあ。事件や恋はアクション・シーンのための刺身のつまみたいなもの。ライアン・ゴズリングが能天気なスタントマンを楽しそうに演じてる。
もう一本は『ツイスターズ(原題:Twisters)』。オクラホマの巨大竜巻を追うストーム・チェイサーたちの物語。NYのアメリカ海洋大気庁で働くケイト(デイジー・エドガー=ジョーンズ)は、かつての仲間ハビ(アンソニー・ラモス)の頼みで夏休みに故郷のオクラホマに帰ってくる。大学時代、ケイトやハビは竜巻の力を削ぐ方法を実験していたが、竜巻に巻き込まれて仲間3人を失い、ケイトは今もそのトラウマに悩まされている。ハビは住宅開発業者の支援を受け、竜巻追跡チームを組織している。彼ら以外にも、竜巻を追いかけてSNSで中継しインフルエンサーとなったタイラー(グレン・パウエル)のチームがある。竜巻が発生すると、2つのチームは車をつらね、どちらが先に竜巻に近づけるかを競う。ケイトははじめハビのチームに加わるのだが、社会貢献ふうな企業チーム対竜巻をネタに金にする地元チームと見えたものが、、、。このあたりの対立やケイトとハビ、タイラーの微妙な三角関係は、『フォールガイ』を同じで刺身のつま。やはり巨大竜巻が次々に生まれ、町を破壊していくあたりが見せ場だ。こういう題材を娯楽映画にしてしまう腕には感心する。
2本とも大人の鑑賞にたえるエンタテインメント。日本映画でもこういうのがほしいなあ。
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