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February 23, 2024

「中平卓馬 火│氾濫」展

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「中平卓馬 火│氾濫」展(竹橋・国立近代美術館。~4月7日)へ。

中平卓馬とは小生が写真雑誌にいたとき、1970年代前半と1990年代半ばに何度か会っている。70年代には写真家というより論客として、マッド・アマノの著作権裁判や、友人にしてライバルである森山大道について話を聞き記事を書いた。90年代は昏倒・記憶喪失から再起しての作品掲載のためだった。

以前に横浜美術館で開かれた展覧会は再起後のカラー作品に焦点が当てられていたが、今回は60年代の雑誌発表から晩年のカラー作品まで丹念に見せて、ああ、中平卓馬はこういう写真家だったんだと納得がいった。記憶喪失以前の写真と以後の写真には断絶があると言われ、小生もそう感じてきたけれど、撮影スタイルに違いはあるにせよ、ずっと同じものを見て、シャッターを押していたんだと思った。それは彼の写真集のタイトルを借りれば「来るべき言葉のため」の現実の断片ということだろう。

時を同じくして柳本尚規『プロヴォーク 中平卓馬をめぐる50年目の日記』(読書人刊)が出て、雑誌編集者から写真家へ転身する時代の中平卓馬が、親しくつきあった仲間の眼から鮮やかに描きだされている。小生、登場人物の多くに面識があるので、風貌からしゃべり方、その場の雰囲気が目に浮かぶ。

70年代、中平さんと会うのはいつも数寄屋橋の喫茶店で、歌手の安田南がふらっと姿を見せたりした。舌鋒鋭いが、人懐っこい表情でにやりと笑う、あの笑顔が忘れられない。

 

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February 17, 2024

奥武則『明治六大巡幸』を読む

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奥武則『明治六大巡幸』(中公選書)の感想をブック・ナビにアップしました。

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February 03, 2024

「みちのく いとしい仏たち」展

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ほっとする展覧会を見た。「みちのく いとしい仏たち」展(~2月12日、東京駅・東京ステーションギャラリー)。素晴らしさに惚れ惚れしたり、勉強になったりもいいが、たまにこういう展覧会もいい。青森や岩手の村のお堂や祠や農家の神棚に祀られる仏や神が130点。奈良や京都の寺にある洗練された仏像と違う、素朴で粗削りな仏たちだ。

 はにかむような笑みを浮かべた山神像(写真)。ちっとも怖くない不動明王像。三途の川で助けてと拝む童子跪坐像。隣のおじさんのような地蔵菩薩。かっこつけた若衆みたいな鬼形像。母のまなざしで子を抱く子安観音坐像。どれもこれも、なんとも豊かな表情をしていらっしゃる。立派なお寺でなく生活の隣にいて、日々の喜怒哀楽にそっと寄り添っているような。

 平安から江戸時代にかけて、専門の仏師でなく土地の船大工や木地師によって彫られた。北東北には、こういう民間仏がまだたくさん残っているらしい。こんな仏たちを風土のなかで眺める旅をしたくなった。

 

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