2023年の映画10本
病気をして以来、映画を見る本数がガクンと減りました。以前は年末に遊びでベスト10をつくっていたのですが、それほどの本数を見ていないので順位なしで面白かった映画を10本、挙げてみます。年末に風邪をひいてしまい、『枯れ葉』を見られなかったのが残念。
●『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』
石油ブームに沸く先住民居留地で、石油の権利を持つ先住民が次々に殺された”アメリカ史の闇”。ロバート・デ・ニーロの善人面した悪党と、先住民系の女優リリー・グラッドストーンの品位あるたたずまいが素晴らしかった。
●『カード・カウンター』
イラク戦争のトラウマを持つ元兵士のプロ・ギャンブラーが、相棒を破滅させた元上官に、彼に教えられた拷問で復讐する。今年見たノワール映画では一番。オスカー・アイザックの暗い瞳が印象に残る。
●『レッド・ロケット』
落ちぶれて故郷へ戻ったポルノ男優が、バイト先の女子高生を口説き二人でポルノ業界復帰を夢みる。”Make America Great Again”の看板の下、懲りない男が繰り広げる楽天的でエロチックで悲しい物語。
●『ベネデッタ』
ペストの時代、奇蹟を自作自演して出世した修道院長が、若い修道女と同性愛の関係になる。主役ヴィルジニー・エフィラもいいが、裏を知りつつ表情ひとつ変えない前修道院長シャーロット・ランプリングも凄い。
●『TAR/ター』
女性初のベルリン・フィル主席指揮者となったターの栄光と挫折。ケイト・ブランシェットに宛て書きした脚本・演出。ケイトは作品によってがらりと印象が変わるが、このケイトは美しい闇のよう。
●『アフターサン』
11歳の娘が父親と異国の海辺で過ごした夏休みを、父親と同じ年齢になって当時のヴィデオを再生して振り返り、あの頃わからなかった父の悲しみを知る。映像も音も切ない。
●『それでも私は生きていく』
レア・セドゥが子持ちの母親役を演ずるのを見るのは初めて。彼女もそんな歳になったんだなあ。子育て、親の介護、新しい恋と、定番の映画だけど、彼女を見ているだけで気持ちよい。
●『サタデー・フィクション』
真珠湾攻撃7日前の上海、日仏中の諜報員が入り乱れてのスパイ戦。モノクロ長回しで、アクションとはいえ、ひと味もふた味も違う。コン・リー、オダギリジョー、マーク・チャオの絡み合いが見もの。
●『福田村事件』
関東大震災直後、旅の行商人が朝鮮人と間違われ惨殺された事件の映画化。ドキュメンタリスト森達也の初の劇映画。加害者である村人の生活と性を描き込んだことで作品の奥行きが増した。
●『花腐し』
同じ女を愛したと知らない中年二人が知り合い、酒を飲み、淡い友情を感ずる。現在はモノクロ、過去はカラー。窓の外は、いつも雨。新宿ゴールデン街や書棚のゴダールなど1970~80年代の香り充満。
<番外>
●『ゴジラ -1.0』
ゴジラ登場場面は楽しめたが、力を入れたらしいドラマ部分は??? ラストで「戦後」的にひっくり返してみせるとはいえ、通底する純愛+特攻の取り合わせが気色悪い。




Recent Comments