琉球の組踊
琉球の組踊というものを初めて見た(「能と組踊」千駄ヶ谷・国立能楽堂、11月25日)。18世紀に琉球王国で清朝からの使者を歓待するためにつくられたもの。琉球古来の芸能や故事を基に、能や歌舞伎、また中国の演劇にヒントをえて独自の芸能に育った。これが琉球の音と色に満ちて楽しい。
この日の演目は「執心鐘入」。首里王府へ出府する途中、一夜の宿を乞うた中城若松(宮城茂雄)が宿の女(佐辺良和)に恋われ、寺に逃げ込み鐘に身を隠す。若松を追った女は鬼女に変身してしまう。能の「道成寺」に似てるが、こういう伝承は各地に残っているんだろう。衣装は琉球王朝ふうの鮮やかなもの。セリフと謡は島言葉。曲は琉球の唄。笛太鼓、箏に三線と胡弓が入る。
この日は能(観世銕之丞「三井寺」)と組み合わせ、能舞台で演じられたためかシンプルな舞台だったが、沖縄で組踊を見た友人によると、もっと大がかりでエンタメ的な演目もある、とのこと。これは是非、見てみたい。
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