太陽劇団の「金夢島」
友人に誘われてフランスで活動する太陽劇団の公演「金夢島」に出かけた(池袋・東京芸術劇場)。1970~80年代に見た寺山修司や唐十郎のアンダーグラウンド演劇のような(実際、寺山の天井桟敷と交流があったらしい)ワクワクする祝祭空間に身を置いて楽しかった。
多民族の役者によって多言語のセリフ(仏語、日本語、英語、ポルトガル語、アラブ語、ロシア語、ペルシャ語等々)が話されるという、今日的つくり。舞台は日本の、小さな島。カジノリゾート建設の計画が持ち上がり、推進する資本家や地方政治家と反対する漁民との対立、ドタバタが話の軸になる。筋はすんなり展開するわけでなく、劇中劇の演劇祭で中東や中国の政治問題や先住民虐殺など寸劇がコラージュされてダイナミック。大道具小道具はすべて観客の前で役者が出し入れする。舞台背後には国芳、小林清親、川瀬巴水の版画が大写しに。音楽と舞もたくさん。非日本人による能の舞と謡い。ビートルズの「Because」や昔のヒット曲「We'll meet again」が印象的に使われる。最後は竹馬のような高下駄に乗った役者の着ぐるみによる鶴が現れ、役者が「We'll meet again」に合わせて舞う大団円。
鋭い批評精神、集団による手づくりの非商業演劇という軸を60年保ち続ける太陽劇団。それを支える観客がいることも含めて、文化の厚みを感じたなあ。
Comments