October 28, 2023
October 27, 2023
太陽劇団の「金夢島」
友人に誘われてフランスで活動する太陽劇団の公演「金夢島」に出かけた(池袋・東京芸術劇場)。1970~80年代に見た寺山修司や唐十郎のアンダーグラウンド演劇のような(実際、寺山の天井桟敷と交流があったらしい)ワクワクする祝祭空間に身を置いて楽しかった。
多民族の役者によって多言語のセリフ(仏語、日本語、英語、ポルトガル語、アラブ語、ロシア語、ペルシャ語等々)が話されるという、今日的つくり。舞台は日本の、小さな島。カジノリゾート建設の計画が持ち上がり、推進する資本家や地方政治家と反対する漁民との対立、ドタバタが話の軸になる。筋はすんなり展開するわけでなく、劇中劇の演劇祭で中東や中国の政治問題や先住民虐殺など寸劇がコラージュされてダイナミック。大道具小道具はすべて観客の前で役者が出し入れする。舞台背後には国芳、小林清親、川瀬巴水の版画が大写しに。音楽と舞もたくさん。非日本人による能の舞と謡い。ビートルズの「Because」や昔のヒット曲「We'll meet again」が印象的に使われる。最後は竹馬のような高下駄に乗った役者の着ぐるみによる鶴が現れ、役者が「We'll meet again」に合わせて舞う大団円。
鋭い批評精神、集団による手づくりの非商業演劇という軸を60年保ち続ける太陽劇団。それを支える観客がいることも含めて、文化の厚みを感じたなあ。
October 16, 2023
October 14, 2023
「在日クルド人」展
全国でいちばんクルド人住民が多い川口市で開かれている写真展「在日クルド人」に出かけた(~10月15日、川口市立アートギャラリー・アトリア)。鈴木雄介、Refik Tekin、上田惠利加の写真家3人の撮影で、クルド現地の人々と風景、今年2月のトルコ大地震による被害の様子、川口・蕨地区に住むクルド人の生活などが展示されている。
トルコ大地震(震源はクルド地域)以後、血縁を頼って川口に避難してくるクルド人が増えているという。言葉や文化が違えばトラブルが起きやすくなる。政府がきちんとした移民政策を取っていないこともあるが、なにより互いを知らないことが大きい。そこに橋を架け「共に暮らす社会を考える契機にしたい」というのが主催者の言(写真はクルドの新年を祝う祭)。
October 08, 2023
セルダル・ジャーナンのコンサート
クルド人の音楽家、セルダル・ジャーナン(Serdar Canan)のコンサートに出かけた(10月8日、川口・リリア)。セルダルはミュージシャンであるとともに、クルド民族音楽を採集する研究者でもある。この日は彼が採集したクルド各地の音楽を民族楽器のタンブールを弾きながら歌った。クルドはトルコ、シリア、イラン、イラクにまたがる地域で、場所によって言葉も音楽も少しずつ違うようだ。各地に古くから伝わる愛の歌、戦争の歌、子守歌。時にアラブのような、トルコのような、ペルシャやインドのような、でも哀調を帯びた曲想は共通している。
会場になった川口市は、トルコ国籍のクルド人が全国でいちばんたくさん住んでいる地域。観客席には子ども連れのクルド人も多い。セルダルが歌うにつれて手拍子が湧き、セルダルの指導で会場全体がハモり、最後は女性たちが舞台に上がって踊った。
この日、川口駅前では「日本は日本人だけのもの 」という日本第一党の集会・ヘイトデモがあり、ヘイトを許すなというグループの訴えがあり、警察官が出るなどものものしい雰囲気。ヘイトは許されない。外の空気とは別に、やっぱり音楽はいい。
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