「奇想の絵師 歌川国芳」展
地元の美術館で「奇想の絵師 歌川国芳」展(~6月18日、うらわ美術館)が開かれている。先日、三菱一号館美術館で見た「芳幾・芳年」展の芳幾、芳年は二人とも国芳の弟子。正統派の芳幾はともかく、国芳以上に「奇想」という形容が似合う芳年の師匠がどんな絵師だったのか、ジャンルごとに160点が展示され、その全貌がわかる。
ダイナミックな武者絵。豪傑の身体に描かれた刺青が人気を呼び、刺青を彫るのが流行したというから、時代のインフルエンサー。妖怪・怨霊・幽霊はおどろおどろしく、贅沢を禁じた天保の改革を風刺したりの政治批判でもある。役者絵が禁じられたことから動物に擬したパロディも面白い。鉄火肌の女たちの肖像もいい。当時、歌川派として人気をわけあった歌川広重のしっとりした風景画とは全く肌合いの違う、ドラマチックな絵。劇画のルーツとも言われているらしい。これは幕末のいなせな男、粋な女の間で人気沸騰し、競って買い求められただろうな。
Comments