エゴン・シーレ展
東京都美術館の「エゴン・シーレ展」(~4月9日)へ。
エゴン・シーレは、十数年前にニューヨークにいたときメトロポリタン美術館やノイエ・ギャラリーで見たことがある。特に現代ドイツ・オーストリア美術専門のノイエ・ギャラリーのクリムトやエゴン・シーレは充実していて、絵を見たあと、クリムトやシーレが生きた時代のウィーンを模したカフェでお茶を飲むのが楽しみだった。
今回の「エゴン・シーレ展」は、シーレの学生時代から28歳で亡くなるまでの作品が「アイデンティティー(自画像)」「女性像」「風景画」「裸体」などに分けて展示されている。だけでなく、クリムトらウィーンで「分離派」に集まった画家の作品も併せて展示され、当時のウィーンの空気がよくわかる。展示作品の大部分がウィーンのレオポルド美術館所蔵というのだから驚く。
アカデミーの古典的教育に飽き足らず、クリムトと出会って一気に自分のスタイルをつくりあげる過程が一目瞭然。才能というのはこういうのを言うんだろうな。たくさんある自画像はすごいけど、見る側の歳のせいか、自分を突き詰める鋭さに息苦しさを感じ、はじめて見た風景画に惹かれた。モルダウ河畔の小さな町、クルマウの街並みと川面(写真)がいい。若すぎる晩年の作品にも変化が見えて、成熟したらどんな絵を描いたんだろう。
Comments