大竹伸朗展
会期末が近づいた「大竹伸朗展」(~2月5日、国立近代美術館)を見ようと竹橋に行ったら、美術館が宇和島駅になっていた。宇和島は大竹が拠点にしている場所。駅構内に展示があるという趣向か。会場は人でいっぱいだった。
20代の初期から最近作まで500点近い作品が、制作年代を追うことなく7つのパートに分かれて展示されている。「自/他」「記憶」「時間」などだが、まあ、はっきりした区別があるわけではない。初期のスケッチ、油絵、エッチングにはじまり、既成のイメージをモンタージュした圧倒的なスクラップブック、立体、大型の小屋などなど。動いたり、音が出たり。500点が渾然一体となって大竹伸朗というひとつの世界をつくりあげている。50年、スタイルは変われどずっと同じことをやってきたんだな。昭和の匂い、1950年代のアメリカやアジアの匂い。猥雑でチープで、まるで縁日の見世物小屋を見ているような楽しさがある。その一方で記憶の底に淀む、あるいは意識下にある、溶けあい変形した断片の集積を目に見えるかたちで提出されたような気もする。
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