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February 25, 2023

「松本竣介デッサン50」展

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群馬県桐生市の大川美術館へ「松本竣介デッサン50」展(~3月12日)を見に行った。

松本竣介という名前が記憶に残るようになったのは、竹橋の近代美術館の常設展だったと思う。ここの常設展は充実していて、展示替えごとに藤田嗣治の戦争画とか興味深いものが見られるけれど、松本竣介の「Y市の橋」はいつ行ってもたいてい展示されていた。都会の運河にかかる橋と背後の工場が印象的なモノトーンの画面で、橋上にたたずむ黒い人影を見ると、「橋上の人よ/どうしてあなたは帰ってきたのか」という鮎川信夫の詩を思い出す。両者とも戦争の影が色濃いことでは共通している。その後、神奈川県の近代美術館でも彼の絵を見る機会があった。

大川美術館が松本竣介の作品をたくさん所蔵していることを知ったのはつい最近。「デッサン50」は彼のデッサンを中心に、油彩も交えて展示されている。竹橋で見た「Y市の橋」のデッサンもあり(写真上)、油彩のための習作ではなく鉛筆と墨で描かれた独立した作品と思える。すぐ隣には松本のアトリエが再現されていて(写真下)、壁には油彩の「Y市の橋」がかかっている。この絵の油彩バージョンは、竹橋はじめ数点あるらしい。

この絵が描かれたのは1944(昭和19)年。総動員体制で「国防美術」が叫ばれたこの時期、彼はそこから距離を置いてゴミ処理場や工場や橋といった都会の裏側をデッサンしていた。

浦和から2時間かけて見にきてよかった。こういう充実した私設の美術館があるとは、桐生は豊かな町なんだな。

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February 15, 2023

藤原辰史『植物考』を読む

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藤原辰史『植物考』(生きのびるブックス)の感想をブック・ナビにアップしました。

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February 14, 2023

鶴橋市場へ

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数年ぶりに大阪へ行ったので、鶴橋市場の韓国漬物の店へ。この店は、大阪に赴任していた四十数年前からの馴染み。「うちのおばあちゃんの味。おいしいよ」と言われ、それから通いつづけている。いろんな種類のキムチも旨いが、いちばん気に入っているのは岩海苔の漬物。唐辛子とニンニクが利いて、白米で食べると最高だ。

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February 02, 2023

大竹伸朗展

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会期末が近づいた「大竹伸朗展」(~2月5日、国立近代美術館)を見ようと竹橋に行ったら、美術館が宇和島駅になっていた。宇和島は大竹が拠点にしている場所。駅構内に展示があるという趣向か。会場は人でいっぱいだった。

 

20代の初期から最近作まで500点近い作品が、制作年代を追うことなく7つのパートに分かれて展示されている。「自/他」「記憶」「時間」などだが、まあ、はっきりした区別があるわけではない。初期のスケッチ、油絵、エッチングにはじまり、既成のイメージをモンタージュした圧倒的なスクラップブック、立体、大型の小屋などなど。動いたり、音が出たり。500点が渾然一体となって大竹伸朗というひとつの世界をつくりあげている。50年、スタイルは変われどずっと同じことをやってきたんだな。昭和の匂い、1950年代のアメリカやアジアの匂い。猥雑でチープで、まるで縁日の見世物小屋を見ているような楽しさがある。その一方で記憶の底に淀む、あるいは意識下にある、溶けあい変形した断片の集積を目に見えるかたちで提出されたような気もする。
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