「ヴァロットン 黒と白」展
「ヴァロットン 黒と白」展(丸の内・三菱一号館美術館、~1月29日)に出かけた。
ヴァロットンは19世紀末パリで活動した画家。展示されてるほとんどが黒一色の木版画だ。黒と白のコントラスト、面と線で描かれるインパクトの強い画面に惹きこまれる。突然の雨にあわてる人々の、スナップショットみたいな一点。現実とも幻ともつかない建物の風景。街をデモする学生たち。暗殺や事件。戦争。いわくありげな男と女。風刺的な人物画。社交界の裏側。なじみ深い印象派の絵画とはまた違った、当時のパリの諸相が面白い。画面の多くを占める黒の線と面が、事件や戦争では不吉な力として、男と女では抑えたエロティシズムとして魅力的。
アートであると同時に、印刷を前提とした作品であり、デザインやコミックや風刺画とも近接し、ジャーナリスティックでもありと、20世紀につながる要素をたくさん持っているようにも思えた。この美術館のヴァロットン版画コレクションは世界有数だそうだ。たっぷり楽しめる展示でした。
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