調神社へ
浦和の氏神、調宮(つきのみや)へ初詣に。この神社は入口に鳥居がなく、狛犬のかわりにウサギが座っていることで知られる。だから卯年にはたくさんの初詣客がやってくる。12年前は1月3日の夕方に、もうこの時間なら人も少ないだろうと行ったら1時間近く並ぶことになった。そこで今年は5日にしたのだが、それでも10分ほど並んだ。
なぜウサギなのか。はっきりしたことは分からない。この神社の正式な名は調(つき)神社で、中世にこのあたりで月待信仰が広がり(旧浦和市内には「二十三夜」の地名もある)、調と月の読みが同じであることから月→ウサギとなったようだ。鳥居がないのは、平安時代にここは租庸調の調(絹など布の税)の集積所で運搬に邪魔だったからという。
江戸時代には月読(つくよみ)社と呼ばれることもあったらしい。ツクヨミはアマテラス、スサノオの兄弟神で「夜の食国」を治める。調宮の祭神のひとつはスサノオで、スサノオについても「夜の食国」を治めるとツクヨミと重なる記述もあるから、混同されてスサノオ→ツクヨミ→月→ウサギとなった、とは誰も言っていないが(笑)。スサノオは出雲系の神で、埼玉・東京の荒川流域に多い氷川神社の祭神。天孫族に敗れた出雲族が辺境のこのあたりに流れてきたらしい。調宮と氷川神社も関係があるようで、このあたりの歴史は松本清張『神々の乱心』や原武史『<出雲>という思想』にも登場して、なかなかに面白い。
Comments