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November 18, 2022

「あちらにいる鬼」映画と小説

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「あちらにいる鬼」の映画と小説をそれぞれに楽しんだ。

井上荒野の小説は、作者の母・笙子と、父の愛人みはる(瀬戸内寂聴)、両者の視点から父・篤郎(井上光晴)とみはるの関係を描く。作者は寂聴にも取材しているが、母・笙子の視点から見た二人の関係が面白かった。いわゆる三角関係でなく、篤郎が笙子にみはるのことを意識的に知らせたり、篤郎の死後は笙子とみはる(寂光)が仲良くなったり。一方、篤郎の男としての狡さ、でたらめさはよくわかる。娘にこんなふうに書かれて、あの世の井上光晴はどんな顔してるだろう。いや、喜んでいるか。井上荒野を読むのははじめてだったが、こんなうまい、いい小説を書くのかと驚いた。

映画はこの長編小説のエッセンス、三人三様の愛の微妙な関係をうまく掬いとっている。状況としては修羅場であるはずの場面でも、誰も泣かず喚かず、画面が終始穏やかさを保っているのがいい。主演・寺島しのぶ、監督・廣木隆一、脚本・新井晴彦は『ヴァイブレータ』『やわらかい生活』という印象に残る映画のトリオだから期待して見にいったが、期待にそむかず。廣木隆一は女優をきれいに撮るのがいい。剃髪前も剃髪後も、寺島しのぶが美しかった。

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