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November 29, 2022

ご近所の古墳

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旧浦和市は大宮台地の縁にあって、古東京湾が入り込んでいたあたりに貝塚がたくさんあり、そのいくつかは散歩で訪れたことがある。それだけでなく、大久保古墳群と呼ばれる古墳が残っていることを最近になって知った。そこで今日はそのいくつかを。

北浦和駅からバスに乗って20分。旧与野市(今は中央区)を走ったバスが坂を下り、大宮台地と武蔵野台地の間に広がる荒川低地に入る。といっても今はすべて住宅地。白鍬バス停で降りると数分のところに白鍬塚山古墳があった。三階建てビルの脇、私道のようなところを入ると四方を建物に囲まれた築山が残っている。開発で壊され円墳か前方後円墳か分かっていないが、墳丘は径30m以上あったらしい。出土した埴輪の形式から5世紀後半のものという。

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北へ数分歩くと権現塚古墳がある。墳丘に権現社が祀られているが、四方を住宅や駐車場に囲まれ通路がないので道路から眺めるだけ。さらに100mほど行くと道路脇にかね山古墳(写真上)がある。6世紀後半の円墳。画面左の住宅は、玄関を開けると目の前が古墳。毎日、古墳を見ながら生活するのも悪くない。

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古墳群の脇を鴨川が流れている。鴨川はしばらく南へ流れて荒川に合流する。江戸期以前には、ここに旧入間川という大きな川が流れていた。古墳群は、その自然堤防上につくられている。白鍬塚山古墳がつくられた5世紀後半といえば、ヤマト王権の影響が関東に及んできた時期。埼玉県北部にあり国宝の鉄剣が出土したさきたま古墳群も、同じ時代につくられはじめている。住宅地に残った古墳の主は、その時代の大宮台地と旧入間川水系を支配した豪族だったのだろう。

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November 27, 2022

『日本で生きるクルド人』を読む

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鴇沢哲雄『日本で生きるクルド人』(ぶなのもり)の感想をブック・ナビにアップしました。

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November 23, 2022

車窓の風景

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海も山も見えない関東平野の真ん中で育ったので、海や山が見えると、この歳になってもささやかに興奮する。東海道線に乗って茅ケ崎を過ぎると右手に丹沢山塊が、小田原を過ぎると左手に相模湾が見えはじめるのが好きだ。列車が空いていると、右に左に席を移って車窓の風景に見入ってしまう。今日は三島へ行って、熱海に一泊。

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November 19, 2022

竹ぼうきを買う

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散歩の途中、金物屋の店先で竹ぼうきをみつけて買い、遠くから見れば魔女の宅急便のように小脇に抱えて帰ってきた。今あるのはずいぶん前に買ったもので、竹の枝先が少なくなって使いにくい。いまどきこんな手仕事の商品はけっこうするんだろうと思ったら、600円もしない。竹の柄には赤い紙が巻いてあり、見ると「特撰 謝謝 優良保證」とある。漢字からすると大陸でなく台湾製だろうか。輸送費もかかっているから、これをつくった人にはいくら入るんだろう。梅やムクゲの落ち葉がだいぶたまってしまったから、明日には掃除せねば。

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November 18, 2022

「あちらにいる鬼」映画と小説

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「あちらにいる鬼」の映画と小説をそれぞれに楽しんだ。

井上荒野の小説は、作者の母・笙子と、父の愛人みはる(瀬戸内寂聴)、両者の視点から父・篤郎(井上光晴)とみはるの関係を描く。作者は寂聴にも取材しているが、母・笙子の視点から見た二人の関係が面白かった。いわゆる三角関係でなく、篤郎が笙子にみはるのことを意識的に知らせたり、篤郎の死後は笙子とみはる(寂光)が仲良くなったり。一方、篤郎の男としての狡さ、でたらめさはよくわかる。娘にこんなふうに書かれて、あの世の井上光晴はどんな顔してるだろう。いや、喜んでいるか。井上荒野を読むのははじめてだったが、こんなうまい、いい小説を書くのかと驚いた。

映画はこの長編小説のエッセンス、三人三様の愛の微妙な関係をうまく掬いとっている。状況としては修羅場であるはずの場面でも、誰も泣かず喚かず、画面が終始穏やかさを保っているのがいい。主演・寺島しのぶ、監督・廣木隆一、脚本・新井晴彦は『ヴァイブレータ』『やわらかい生活』という印象に残る映画のトリオだから期待して見にいったが、期待にそむかず。廣木隆一は女優をきれいに撮るのがいい。剃髪前も剃髪後も、寺島しのぶが美しかった。

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November 17, 2022

庭の紅葉

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庭のカエデの紅葉が一段と進んだ。ドウダンツツジもだいぶ紅くなってきた。

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November 10, 2022

「闇と光」展

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最近、明治以降の版画の展覧会が目につくと行くようにしている。見ていてなぜか、すっと身体になじむ。今日は「闇と光 清親・安治・柳村」展(原宿・太田記念美術館。~12月18日)へ。明治初期の木版画家・小林清親を中心に、それに続く井上安治、小倉柳村の作品が展示されている。

「闇と光」というタイトルどおり、江戸から東京へと変わった都市の夜の闇と提灯やガス灯にゆらめく光、夕方や明け方の光と色の織りなす風景が素晴らしい。小林清親は洋画と写真術を学んだという。江戸の浮世絵のような線を用いず面と色で画面をつくりだしているのは、そのためだろうか。隅田川にかかる橋がいくつも描かれている。江戸そのままの木造の新大橋。はじめての鉄の橋となった吾妻橋。小生が育った川口の善光寺が対岸に描かれた一枚は、雨中の晴れという空の微妙な色合いを映して見惚れた。

先日見た、大正・昭和の川瀬巴水らの新版画は、こういう光と影の表現を踏まえて、もういちど江戸浮世絵の世界に帰ろうとしたんだろうか。展覧会は前後期に分かれ、全点が入れ替えられるという。また来なければ。ポスターは小倉柳村「湯島之景」。

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November 09, 2022

池袋西口へ

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友人に会いに池袋駅西口へ。駅近くにはかつて芳林堂書店があって学生時代からなじみがある。池袋演芸場があり風俗街もあり、ごちゃごちゃした猥雑さが気楽な界隈だ。今は一角にご当地料理を売り物にした中国料理店が集まり、小さなチャイナタウンとなっている。今日は福建料理店でランチ。濃厚な中国黒醤油を使った黒チャーハンと、骨付き鴨肉を煮込んだスープ。中国の大衆的な食堂で食べているようで(福建に行ったことはないのだが)味もボリュームも満足。これで1000円でお釣りがくる。

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November 01, 2022

早稲田へ

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早稲田に用事があったので久しぶりに大学へ行き、村上春樹ライブラリー(写真右)を見学し、隣の演劇博物館(写真左)で「村上春樹 映画の旅」展(~23年1月22日)を見る。

 

ライブラリーには、世界中で翻訳されたものを含め村上春樹の著作、大学を出てジャズ喫茶を経営していた時代のレコード・ジャケットが並べられ、オーディオを置いた書斎も再現されている。書斎は眺めるだけだがカフェが併設されていて、ジャズを聞きながら時間を過ごせる。企画展「翻訳が開く世界」も。

 

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演劇博物館の「映画の旅」は、村上の小説やエッセイに出てくる映画のポスターやスチールや脚本を見せてくれる。小生はちょっと上だが同世代と言えるから、映画体験はかなり重なっている。『パサジェルカ』とかアートシアター新宿文化で見たポーランド映画が懐かしい。卒論は「アメリカ映画の旅の思想」だったそうだ。

 

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