« ゴーヤの収穫 | Main | 中井久夫『戦争と平和 ある観察』を読む »

September 16, 2022

「新版画」展へ

220915

「新版画」展(千葉市美術館、~11月3日)へ行ってきた。南浦和から武蔵野線でぐるっと回ってここへ行くのは10年前の「田中一村」展以来。収蔵品も企画展も市の美術館と思えないほど充実してる。

新版画というのは、大正から昭和初期にかけてジャポニスムに興味を持つ外国人に向けて主につくられた。国内にも一定のファンがいた。主な作家に川瀬巴水、伊東深水、橋口五葉がいる。浮世絵の伝統を受け継ぎながらモダンな感覚も併せ持った、いかにもこの時代らしいもの。

その3人、巴水の風景画、深水、五葉の美人画を中心に、200点近くが展示されている。印象に残ったもの。巴水の、藍の濃淡だけで描いた夜の風景画(写真は巴水「東京十二カ月 三十軒堀─現在の銀座2丁目─の暮雪」)。鳥居言人の、寝乱れ髪で布団にねそべる女性を描いた「朝寝髪」(スティーブ・ジョブズがこの版画が好きで自宅にかけていたそうだ)。山村耕花の、上海のダンスホールを色鮮やかに描いた「踊り 上海ニューカールトン所見」。石橋江逸の、瓢箪池越しに夜の浅草歓楽街の賑わいを描いた「夜の浅草」(谷崎潤一郎の短篇、女装した主人公が人混みに紛れて浅草を歩き映画館に入る。その情景が浮かんできた)。

なにがしかの知的理解が求められる現代美術より、最近はこういうものに惹かれる。歳のせいだろう。

 

|

« ゴーヤの収穫 | Main | 中井久夫『戦争と平和 ある観察』を読む »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



« ゴーヤの収穫 | Main | 中井久夫『戦争と平和 ある観察』を読む »