ふたつの写真展
まったく久しぶりに写真展をふたつ見てきた。飯田鉄「復元する鏡」(高田馬場・Alt_Medium、~9月14日)と馬場(うまば)磨貴「まぼろし」(新宿・OMシステム・ギャラリー、~9月12日)。
自分の病気、コロナ、カミさんの病気と続いて、散歩と病院通い以外は外に出ない日がつづいた。最後に行った写真展は渋谷で鬼海弘雄さんのだったから(その後、鬼海さんは亡くなってしまった)、2年半ぶりくらいだろうか。
飯田さんの作品は40年前の、ある工場街。モノクロームの、光と影で抽象化された風景。場所は明示されてない。が、小生には埼玉県川口とわかる。飯田さんも私も川口市で育ったから。本当はこの写真に場所を求めてはいけないのだが、知っている町だけについ、あ、ここはあそこだと探してしまう。実際、荒川の鉄橋やサッポロビールの工場は子供のころから目に焼きついている。もちろん今では、写っているほとんどがなくなってしまった「失われた街」。そこでまたノスタルジックになるのは、この写真を見る姿勢としてはいけないのだが、こればかりはどうしようもない。
馬場さんは、かつて同じフロアで働いた仕事仲間。もっとも、実際に一緒に仕事したことはない。でも彼女の撮る写真はずっと気になっていた。作品は、彼女が日々の散歩のなかで撮りためた花。小生も散歩に出て路傍や住宅の庭に咲く花に見とれるけれど、それが馬場さんのファインダーを通すとこんな「まぼろし」のような風景に変化するから不思議だ。日常目にする花や木々のなかに、そうでない世界を感じてしまう。そんな彼女の資質が滲み出ていると思った。
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