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January 01, 2021

2020年の映画10本

Da5bloods

昨年は、一昨年に引きつづいてリハビリと、言うまでもなくコロナのせいで、一度も映画館に行けませんでした。ですから気になる新作をほぼ見られず、見たのはDVDとネットフリックスだけです。毎年つくるのを愉しみにしていたベスト10はおこがましいので、備忘録を兼ねて順不同で10本挙げることにします。

●『ダ・ファイブ・ブラッズ』
スパイク・リー版『地獄の黙示録』。ベトナム戦争に従軍したアフリカ系兵士5人が45年後に現地を訪れる。モータウン・サウンドをバックに老人たちが宝探ししながら、戦後PTSDを発症したある出来事に向き合う。面白かった。

●『ロングデイズ・ジャーニー』
中国映画第7世代と呼ばれる若手、ビー・ガン監督の第2作。現実の小都市から幻想の都市への旅。全体が夢か記憶のなかの出来事のように儚げで美しい。年長世代のように社会や政治への関心を示さないのは成熟なのか閉塞なのか。

●『マザーレス・ブルックリン』
このところハードボイルド映画は流行らないけど、久しぶりに出会った1本。しかも10年前に暮らしたブルックリンが舞台で、なじんだ風景が出てくるのが懐かしい。都市開発に絡む犯罪で、エドワード・ノートンが脚本・監督・主演を兼務。

●『ザ・ライダー』
怪我を負ったロデオ・カウボーイが調教師として再出発を志す。アメリカ中西部の風景のなかで荒馬との交流が心に沁みる。寡黙な青春映画。主演はじめカウボーイが本名で出演し、監督は中国系女性のクロエ・ジャオ。

●『パラサイト』
 倒錯したホームドラマであり、サバイバル映画であり、ホラー的な要素もあり。こういうのが映画だぜ、という監督の自信。家族観や単純化には批判もあるけど、骨太のエンタテインメントだからこそアカデミー賞まで行きついた。韓国映画の力。

●『オールドガード』
とにかくシャーリーズ・セロンが恰好いい。ショートカットを黒髪に染め、セクシーなブロンド娘を封印して暴れ回る。アメコミ原作の荒唐無稽なお話だけど、アクションの切れにも惚れ惚れ。

●『リチャード・ジュエル』
最近のクリント・イーストウッドは現実の事件を素材にした映画が多い。これや『ハドソン川の奇跡』『15時17分、パリ行き』のように本人が出演しないと普通の社会派映画に見えかねないけど、『運び屋』のように本人が出演すると俄然、血が通ってくる。とはいえ、それでも楽しめるのがイーストウッド。

●『シカゴ7裁判』
1968年シカゴ民主党大会でのデモ隊の衝突で起訴された7人の裁判を描く法廷映画。冤罪で起訴されたアフリカ系過激派ブラックパンサーと白人学生との対立を交えながら、テンポよく公判を追って政府の嘘を暴く。

●『ロマンスドール』
美大出のラブドール職人・高橋一生と美術モデル・蒼井優のラブストーリー。ピエール瀧がいい味出してる。蒼井優とタナダユキ監督のコンビは『百万円と苦虫女』以来だけど、相性はぴったり。

●『マリッジ・ストーリー』
スカーレット・ヨハンソンとアダム・ドライバーの夫婦がニューヨークとロスを舞台に苦い別れ。監督は『イカとクジラ』など現代的ホームドラマを得意とするノア・バームバック。

 

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Comments

雄さん、あけましておめでとうございます。
スパイクリーとロマンスドールは未見です。しかし本当にネトフリは凄いですね。。
コロナ禍も年明け早々雲行きが怪しいですが、お身体お大事になさってくださいね。
ブログ他更新もご無理なさらず、ぼちぼち楽しんでください。
本年もどうぞよろしくお願いします。

Posted by: 真紅 | January 03, 2021 06:03 PM

真紅さん

こちらこそよろしくお願いします。
今年も当分は映画館に行けそうにないので、ネトフリで楽しむしかなさそうです。
今は古いドラマでデヴィッド・フィンチャーが何本か演出している『ハウス・オブ・カード』を見ています。

Posted by: | January 05, 2021 02:45 PM

ベスト10拝見いたしました。
3本観ていないのがあり今後チェックしていきたいと思います。

<『ハウス・オブ・カード』を見ています

このシリーズ、面白いですよね!
でいうと、MANKがランキングに入ってませんが私も残念ながらついていけなくて圏外となりました。
Netflixで自由に作れるのが吉とでたりこうなったり色々ですね〜

Posted by: onscreen | January 10, 2021 06:57 PM

onscreenさんはいつもたくさんの映画をご覧になってて、参考にさせていただいてます。

実はMANKはまだ見てないんです。見ようと思いつつ、なかなか手が伸びなくて。確かに自由につくれるというのはプラスマイナス裏表ですね。かつては映画館での上映時間の制約からいろんな技法や語り口が開発されましたから。僕の好きなハードボイルド系の語り口などその例でしょうね。

Posted by: | January 15, 2021 11:55 AM

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