与野の大カヤへ
樹齢約1000年と言われる与野の大カヤまで歩く。ここまで歩いたのは1年ぶりくらいか。
去年の秋頃から、治療の副作用で下半身と足裏にしびれが出た。治療を受ける前に、そうなるかもしれないと言われていたので、やっぱりという感じだった。といって歩けないほどのしびれでなく、日常生活はふつうに送ることができる。ただ長時間歩くとすぐ疲れて、ひと息いれたくなる。だから毎日の散歩も30分から始めて、40分、50分と少しずつ延ばしてきた。与野の大カヤまでは往復1時間以上かかる。わが町は緊急事態が解除されていないので幹線道路を避け、人けの少ない道を選んでようやくやってきた。
1000年前といえば平安中期。摂政・藤原道長が「この世をばわが世とぞ思ふ望月のかけたることもなしと思へば」と詠った時代だ。それでも都はたびたび火事と疫病に襲われていた。年表を見ると、「1015年 内裏焼亡。疫病流行」「1016年 京都大火」「1024年 京都大火」「1025年 諸国に疱瘡流行」「1028年 平忠常、下総で反乱」「1030年 疫病流行」とある。この100年後に鴨長明が『方丈記』に記した乱世ではまだないにしても、道長はともかく庶人にとっては困難な時代だった。
大カヤは根元は太いものの、雷か嵐で折れたんだろう、高さはそんなにない。それでも、1000年の間にいくたびもの疫病の流行を見てきたんだろうな、と思いながら、太い樹木の周りを一巡り。
Comments