竹橋の近美へ
NHKの日曜美術館で奈良原一高の特集を見ていたら、竹橋の近代美術館で彼の処女作「無国籍地」が展示されているのを知った。20年近く前、東京都写真美術館の奈良原展で何点か見た記憶はあるけど、よく覚えてない。先日、世田谷美術館で奈良原のスペインの写真に感激したばかりだったので、もう一度見たいと出かけた。
戦後、廃墟となった軍需工場の写真。といっても、その社会的意味でなく、抽象化され造形化された空虚。でも、それが奈良原にとっての戦争と戦後の意味だったと分かる。「無国籍地」というタイトルも暗示的だ。
同じフロアでは、美術史を専攻する大学院生だった奈良原が傾倒した河原温の作品や、藤田嗣治の戦争画「〇〇部隊の死闘──ニューギニア戦線」も展示されている。常設展なので、65歳以上は無料。これはありがたい。
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