1日がかりの検査
昨日は1日がかりの検査。朝6時半に軽く朝食をとった後は、夕方に検査が終わるまで摂取できるのは水のみ。午前中は採血、午後は、微量の放射性物質を体内に注射し、その動きをCT撮影するというもの。
今朝の朝日新聞をみたら、たまたま素粒子物理学者の村井斉が反物質という物理学の理解しにくい現象を利用したその仕組みを解説してた。放射性フッ素を含んだ糖分を体内に入れると、糖分を好むがん細胞の周辺に集まる。がん細胞にとりこまれた放射性フッ素が反応して反物質の陽電子を生みだし、陽電子が崩壊するときガンマ線を放出する。それを撮影することで、がんの存在を確認できるというもの。僕はPET-CT検査と呼ばれるこの検査法の画像を見たことがある。ガンマ線は赤いボールのように点々と妖しく光っていて、がん細胞がつくりだす人体のなかの美しい光景になぜか感動してしまった。
この検査での人体への被ばくは2.2ミリシーベルトで、人間がふつうに暮らしていて1年間に受ける自然放射能とほぼ同じ値だという。しかも短時間で減っていくが放射能には違いなく、帰るときに妊婦さんや幼児には近づかないよう注意される。自分がいわば放射能漏れしている小型原子炉になっているわけだ。
そのこともあり、また腹も減っていたので、病院の最上階にあるレストランで遅い昼食。レストランからは建設中の新国立競技場が眼下に見える。ずいぶんこぢんまりとまとまった外観。これに比べれば当初のザハ・ハディッドのデザインのほうがインパクトは強烈。衰退しつつある国が注ぎ込むムダ金の記念碑として、こちらのほうが時代的意味があったのではないか。
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