アンデスと熊楠展
上野の国立科学博物館で面白い展覧会を二つ見た。
ひとつは「古代アンデス文明展」(~2月18日)。先住民がアジア大陸から北米を経て南米に渡った古代からインカ帝国滅亡までの遺物や遺跡の映像が展示されている。生者と死者、人間と動物が一体となった世界。独特の造形感覚がすごい。上の写真は建物に飾られていた石像で、人間の顔(左)がジャガー(右)に変容していく。コカの幻覚作用も影響していると考えられているそうだ。
アンデス文明は無文字社会だった。これは情報の記録・通信に使われたキープと呼ばれるもの。何本ものヒモに結び目をつけることで、何を記録していたんだろう。
特別展の「アンデス文明展」は有料で、企画展の「南方熊楠 100年早かった智の人」(~3月4日)も一緒に見られる。
熊楠学の基となった大英博物館での抜書きノートや紀州で集めた菌類・藻類の標本、柳田国男との往復書簡、日記、フィールドで使った収集用具などが、「知の方法」という視点で展示されている。熊楠データベースは彼の脳内で作動していたが、残された資料の解読はまだ途上らしい。
これはロンドンから日本へ送った自筆の絵葉書。戯画はうまいし、熊楠は字にも味がある。
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