「ルドルフ2世の驚異の世界」展へ
神聖ローマ帝国の皇帝として君臨したハプスブルグ家のルドルフ2世が蒐集した絵画やモノを集めた展覧会(~3月11日、渋谷・Bunkamura ザ・ミュージアム)。芸術家でなく、権力と富によって世界中の文物を招き寄せたコレクターを軸にしたところが面白い。
16世紀末から17世紀初頭。プラハのルドルフ2世の宮廷には画家のアルチンボルド、ヤン・ブリューゲル(父)、天文学者ケプラーらの才能が集まっていた。大航海時代以後、世界中の辺境から珍しい動植物がもたらされた時代。アルチザンとアーティスト、錬金術や占星術と科学が、未分化だった時代。その混沌から生まれた、博物学と絵画が一体となったような作品が並んでいる。
野菜と花によって描かれたアルチンボルドの「ルドルフ2世像」。四季の花を一つの壺に活けたブリューゲルの「小さな花束」。男装した女王が女装したヘラクレスを誘惑するスプランガ―の「ヘラクレスとオムパレ」。ケプラーの書物。望遠鏡や天球儀。イッカクの牙(ユニコーン伝説を生んだ)。貴金属や宝石をちりばめた時計や杯。こういうのを一堂に集めた「驚異の部屋」で、ルドルフ2世は自身の好奇心を満たしていたわけだ。
上の写真は現代アーティスト、フィリップ・ハースの特別展示。アルチンボルドにインスパイアされた「春・夏・秋・冬」。
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