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April 28, 2017

『タレンタイム~優しい歌』 多民族国家の青春

Talentime
Talentime(viewing film)

『タレンタイム~優しい歌(原題:Talentime)』(2009)は51歳で亡くなったマレーシアのヤスミン・アフマド監督の遺作。ほれぼれする青春映画だった。

高校の学内音楽コンクール(タレンタイム)に出場する4人の学生を中心にした群像劇で、なにはともあれ彼らの民族的宗教的背景の多様さにびっくりする。

ピアノの弾き語りをするヒロインのムルー(パメラ・チョン)は裕福なイスラム家庭の娘。父はマレー系と英国系の混血、母はマレー系。家族同然の中国系のメイドがいる。そのムルーをタレンタイムの練習にバイクで送り迎えすることになったマヘシュ(マヘシュ・ジュガル・キショール)はインド系で聾唖。宗教はヒンドゥー教で、マヘシュの母は同じインド系ながらイスラムの隣人を毛嫌いしている。

ギターの弾き語りが上手な転校生のハフィズはマレー系のムスリム。ひとり親の母は脳腫瘍で入院している。二胡を弾くカーホウは中国系。秀才だが転校してきたハフィズに一番の座を奪われ、成績優秀であれと命じる父のプレッシャーを感じている。

映画のなかで話されるのはマレー語(公用語)、英語(準公用語)、タミル語、中国語、それに手話を加えれば5つの言語が飛び交う。それがマレーシアの現実を反映しているんだろう。実際には、それぞれの民族も地域ごとに枝分かれし、それぞれの混血もいて、マレーシアは極めて複雑な多民族国家だ。

ヒロインのムルーは最初、マヘシュが聾唖であることに気づかず不愛想な態度に怒るが、やがて誤解が解けて互いに惹かれるようになる。イスラムであるムルーの家庭はマヘシュに寛大だが、ヒンドゥー教徒であるマヘシュの母は息子の恋人がイスラムと聞いて激怒し、交際を禁ずる。中国系のカーホウも口には出さないがムルーに惹かれている。敬虔なイスラムのハフィズは、入院している母を毎日のように見舞い、ムルーとマヘシュの橋渡しをしてやる優しい男。

それぞれの生徒の家庭の事情や先生たちの恋愛模様なども点描されて、タレンタイムの本番が近づいてくる。マヘシュがムルーを乗せてバイクで街を走ったり、公園のベンチに腰掛けたりのショットが素敵だ。冒頭と最後、会場となる無人の体育館の照明がつき、最後に消えてゆくショットもいい。タレンタイムで歌われるのは、マレーシアの人気アーチスト、ピート・テオ作曲の「I Go」や「Angel」。印象深いラブソング。

こういうコンクールもの映画は世界中のいろんな国でつくられていて、その意味では定型だけど、画面からあふれるみずみずしさが定型を感じさせない。民族も宗教も超えて人と人はつながれるというメッセージが、声高でなくじんわり滲んでくる。

マレーシアを舞台にした映画を見るのは、ツァイ・ミンリャン『黒い眼のオペラ』以来。マレーシア生まれのツァイは中国系で、この映画をつくったころは台湾を拠点にしていたから、純粋のマレーシア映画を見るのは初めて。タイ、フィリピン、そしてマレーシアと、このところ東南アジアの映画が面白いなあ。

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April 26, 2017

『騎士団長殺し』を読む

Kisidan_murakami

村上春樹『騎士団長殺し』の感想をブック・ナビにアップしました。


http://www.book-navi.com/


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April 24, 2017

朝掘り筍

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いただきました、朝掘り筍。たけのこご飯に吸い物に若竹煮。


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April 21, 2017

カンナヒロコを聞く

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Kanna Hiroko live

カンナヒロコのライブに出かけた(20日、横浜・BarBarBar)。ニューヨーク在住でジャズ歌手の彼女はこのところ毎年帰ってきて、東京、大阪、名古屋、広島などでライブをやっている。

小生がニューヨークに滞在したときは、ギタリストのご亭主とともにアパートの保証人になってくれた恩人。といっても義理で行くんじゃなく、魅力的な低音の歌にいよいよ磨きがかかってきたから。

歌いこんだスタンダードから、ジョビンやウェイン・ショーターの曲、ラテンまで。ビートルズとスタンダードを重ねた「イエスタデイ~イエスタデイズ」が面白かった。バックは嶋津健一(p)、加藤真一(b)、JUN SAITO(ds)の強力トリオ。


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April 19, 2017

『午後8時の訪問者』 ミニマルな映画

La_fille_inconnue
The Unknown Girl(viewing film)

ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ監督の『午後8時の訪問者(原題:La Fille Inconnue)』には、いっさいの無駄がない。無駄な映像がなく、無駄なセリフがなく、無駄な音楽がない。カメラは登場人物の傍らにはりついて、そこから離れようとせず、風景などのショットは挿入されない。殺された少女がどんなふうにこの国にやってきたのかや、主役の医師の家庭環境なども説明されない。音楽はいっさい入らず、終始、高速道路を走る車の音だけが流れている。必要最小限の要素でつくられた、ミニマリズムの映画。

もっとも一般論で言えば、それが即いい映画という訳でもない。心を揺さぶる映像の迫力。ジョークや洒落たセリフ。適度な説明。ぴたりとはまった音楽。そういう遊びがあってこそ、映画の快楽はいよいよ大きくなる。でもダルデンヌ兄弟は、そうした遊びを引き算して映画をつくることを自分たちのスタイルとして選んだ。

ベルギーのリエージュ。医師のジェニー(アデル・エネル)は引退する老医師の診療所で、研修医とともに代診をしていた。帰り支度をしていた午後8時、誰かがベルを鳴らす。研修医がドアを開けようとするが、ジェニーは診療時間外だからと止める(彼女には、勤務することが決まった病院の歓迎パーティーの予定があった)。翌日、近くの川で身元不明の若い女性の死体が発見される。防犯カメラには、女性が診療所のベルを鳴らす姿が映っていた。医師として罪悪感にさいなまれたジェニーは、女性が誰なのかを調べはじめる……。

リエージュはダルデンヌ兄弟が生まれ育った土地であり、彼らの過去の映画の舞台でもある。殺風景な工業都市。診療所は、労働者階級や移民が暮らす貧困地区にある。ジェニーが手掛かりを求めて家々を訪ねはじめると、労働者家庭の現状や、移民が集まるカフェ、若者がたむろする廃工場、移民の売春組織などが浮かびあがってくる。

とてもぶっきらぼうな映画なのに最後まで引き込まれるのは、女性が誰なのか、なぜ殺されたのかの謎を追う、サスペンスの要素だけは引き算の果てに残しているからだろう。『ある子供』や『ロルナの祈り』もそうだったように。小生、サスペンスやミステリーなどのジャンル映画が好きなので、そこに惹きつけられる。

ドキュメンタリー出身らしく、ひたすら主人公を追うカメラと、カメラの動きによって徐々に謎が見えてくるジャンル映画の要素が溶けあってる。それが、似たようなテイストをもつケン・ローチやミヒャエル・ハネケと違うダルデンヌ兄弟のスタイルなんだろう(もっとも隣で見ていた中年夫婦は文字通りジャンル映画を期待していたらしく、見終って「なに、この映画」と文句を言っていた。邦題はそういう誤解を意図的に誘導してる)。

最後にジェニーは、決まっていた病院勤務を辞退し診療所を引き継ぐことを決意する。前作『サンドラの週末』でもマリオン・コティヤールが全編すっぴんだったけど、この映画でもアデル・エネルは化粧っ気なしで、にもかかわらず魅力的な女性医師を演じている。


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April 18, 2017

自主製作のCDが完成

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自主製作していたCD「邂逅」が出来上がった。

去年5月、高校時代の同級生である二人の音楽家、ヴァイオリニスト・池田菊衛君と作曲家・ピアニスト・淡海悟郎君のコンサートを友人たちと企画した。若干の黒字が出たので、またプロに録音してもらっていたので、記念に参加者に配るCDをつくることになった(非売品)。やはり友人のデザイナーにデザインしてもらって、さすがプロの仕事。

曲目はベートーヴェン「クロイツェル・ソナタ」、シューベルト「アルペジョーネとピアノのためのソナタ」、淡海悟郎「三つの死の情景」、ベートーヴェン「ロマンス第2番ヘ長調」。

池田君はアメリカ在住だけど、皆で集まっての打ち上げが楽しみだ。


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April 15, 2017

国会前へ

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共謀罪の審議がはじまった国会の前で、元SEALDsのメンバーらがつくった「未来のための公共」金曜集会に参加した。久しぶりに皆でコールして、まだ安保法制反対のときのようなドンピシャのフレーズはないけど、あのときのリズムと熱気を思い出した。

自由に話せる 社会を守れ
いいね!を押せない 社会をつくるな
テロ対策と ウソをつくな
市民の生活 のぞき見するな
共謀罪より 同一賃金
共謀罪より 保育園つくれ
きょう・ぼう・ざい 反対!


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April 14, 2017

『哭声/コクソン』 國村隼の悪霊ぶり

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The Wailing(viewing film)

韓国・全羅南道の山間に谷城(コクソン)という村がある。映画の舞台はここ。タイトルの『哭声(原題:곡성)』と同じ発音になる。地名と哭声という言葉が掛けられているわけだ。哭声とは辞書によれば「人が死んだときに大きな声で泣く声」。そのとおりに、谷城に哭声が響きわたる。

のどかな山あいの村に、ひとりの日本人(國村隼)が住みついたことからなにかが変わりはじめる。住民が家族を惨殺する事件が連続して起こる。家族を殺した男は肌が赤くただれ、家の柱には見たこともない茸が生えている。住民たちは、日本人の仕業ではないか、日本人が裸で鹿の死体を食っているのを見たなどと噂する。村の警官・ジョング(クァク・ドウォン)が捜査に当たるが、ある日、自分の娘の肌が赤くただれているのを発見する……。

ジョングの母は、孫が悪霊に憑かれたと祈祷師(ファン・ジョンミン)を呼んで祈祷の儀式を行う。共同体によそ者が侵入したことから生まれる疑惑という社会派的な物語と、悪霊憑きと除霊といった『エクソシスト』ふうな物語が絡まりあって進行する。怪しげな若い女(チョン・ウヒ)が出てきたり、真っ赤な目をした國村隼がジョングの夢に現れたり、なにが起こっているのかわからないが、不安と恐怖が村に充満していく。もっともジョングは娘にまで馬鹿にされる頼りない警官で、太めのクァク・ドウォンが笑いとユーモアもかもしだす。いろんな要素がつめこまれすぎ、やや未消化で、ナ・ホンジン監督の『チェイサー』や『哀しき獣』にくらべると完成度はいまひとつだったが。

ところでこの映画、ネトウヨから反日映画などと騒がれるものかと一抹の不安があったけれど、そんなテイストはまったく感じなかった。

ひとつには、國村隼の役が「日本人」ではなく、共同体の外部から来た「よそ者」と設定されているからだろう。実際、ナ・ホンジン監督は最初、この役に中国人か日本人を考えたという。歴史的にいろいろあった日本人という設定ではなかった。國村の掌に釘を打たれた跡のある(イエスのように)ショットも挿入されていた。もうひとつは、國村隼が素晴らしいから。村人の妄想のなかで膨らんでゆく悪霊を身体を張って演じ、彼がいなければこの映画は成り立たなかったろう。青龍賞で男優助演賞と人気スター賞を得ている。

このところ『お嬢さん』や『暗殺』など日本の植民地時代を舞台にしたり、『哭声』のように日本人が登場する映画が公開されている。いま政治的に日韓は緊張しているけれど、これらの映画にそうした緊張はまったく反映していない。逆に、植民地に生きる悲しみを描いたり(『暗殺』)、日本が倒錯した憧憬の対象になったり(『お嬢さん』)、日本人としてでなくもっと普遍化して描かれたり(『哭声』)、韓国映画の成熟を感ずる。國村が韓国の映画賞を受賞したことも、そこに数えてもいいだろう。日本映画での韓国と韓国人(在日も含めて)の描かれ方(あるいは不在)を考えると、むしろ韓国映画のほうが成熟の度合いが高いのかもしれないな。

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April 13, 2017

梅の実

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nuts of Japanese apricot

庭の梅が20ほど実をつけた。これだけでは足りないので、毎年、梅の実を買ってきて足し、ジャムとはちみつ漬けをつくる。


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April 07, 2017

天人峡温泉へ

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a trip to Tenninkyo Spa

北海道・大雪山麓の天人峡温泉へ行ってきた。

忠別川沿いの水車の露店風呂。

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旭川空港から東川町を経て忠別川に沿って大雪山麓へわけいる。忠別湖をすぎると積雪は1メートル近くなる。旭岳方面とは別の谷に入ると、どんづまりに2軒の宿がある。近くに羽衣の滝という名勝があるが、今は積雪が多くて近づけない。

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湯は無色だが、空気に触れると緑褐色になる。硫酸塩・炭酸水素塩・.塩化物泉。源泉掛け流しで、40度前後のちょうどいい湯温。肌にぬめりを感じ、心地よくていつまでも入っていられる。

2つの内湯と2つの露天風呂がある。これは大浴場の岩風呂。内風呂だが、幅20メートル、高さ7メートルほどの岩を露出させている。豪快な風呂。

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飲用できる。わずかに金属の苦みと塩味。胃腸病や腰痛に効くそうだ。

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温泉は明治末、アイヌの案内でこの谷に入った日本人が発見し、数年後に宿が建てられた。宿泊する建物は現在とは反対側の岸にあり、橋で忠別川を渡って入浴していた。

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もうひとつの露天。忠別川をはさんだ対岸には涙岩という一枚岩がある。

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翌日は春のような陽気。涙岩に積もった雪が雪崩となって忠別川に落ち、巨大な一枚岩が姿をのぞかせた。

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東川方面へ向かうと二つのトンネルがある。

東川では写真甲子園という催しが毎年開催されていて、写真雑誌を編集していた20年前、4回ほど参加したことがある。そのときは、天人峡から5キロほどの旭岳温泉に泊った。

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トンネルを抜けると七福岩と呼ばれる柱状節理がある。大雪山系の噴火で堆積した凝灰岩が冷えて固まるときに収縮し、柱状になった岩。

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1000メートルの(歩くには)長い2つ目のトンネルと抜けると、熊出没注意の標識。熊と鉢合わせしてはたまらないので、Uターンして宿へ戻る。

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