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December 29, 2016

根津甚八を悼む

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「ジョン・シルバー 愛の乞食篇」(根津甚八ダイアリーから)

根津甚八が亡くなった。小生と同い年、69歳。

根津甚八を最初に見たのは状況劇場の『二都物語』だったか『鉄仮面』だったか。よく覚えていない。強烈な印象を受けたのは李麗仙の相手役に抜擢された『唐版・風の又三郎』(1974)。翳りを感じさせながらも爽やかな二枚目で、奇優、怪優の多い状況劇場の面々のなかでは異色の存在だった。一緒に見に行った女の子がころりと参ってしまい、嫉妬しようにも相手が悪すぎた。

その後、映画にも進出し、素晴らしかったのは秋吉久美子と共演した『さらば愛しき大地』(1982)。鹿島臨海工業地帯をバックに、高度経済成長からはぐれた男と女の愛が息詰まるようだった。アパートから見える林が音もなく揺れるのが、どんづまりの2人の存在の揺らぎそのもののように見えた。この映画でキネマ旬報主演男優賞を受けている。

最後に見たのは、引退後にただ一度だけ復帰した映画『GONIN サーガ』(2015)。かつての根津甚八とその後の闘病生活を知る者には、感慨なしに見られない映画だった。最後まで恰好よかった根津のダンディズム。

同世代、ましてや同い年の死はこたえる。合掌。


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