映画・今年のBest10
Best10 Films in 2016
今年は秋以降、いくつかの事情が重なって映画を見る本数がぐっと減った。見ても感想を書けない映画も増えた。とてもベスト10を選ぶような本数を見てないけれど、お遊びだし、自分の楽しみのために10本を選んでみた。いつものように洋画も邦画も一緒。
1 ボーダーライン
2 光りの墓
3 彷徨える河
4 さざなみ
5 オーバーフェンス
6 キャロル
7 エクス・マキナ
8 山河ノスタルジア
9 暗殺
10 ディストラクション・ベイビーズ
1 今年、映画を見ることの快楽をいちばん味わった作品。トランプのアジテーションで話題になったメキシコ国境。麻薬カルテルのボスを殺すため、CIAが国境を越えて暗殺者を差し向ける。といっても社会派でなく、寡黙なベニチオ・デル・トロの殺し屋が絶品。砂漠のノワールになっているのが素敵だ。ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督とロジャー・ディーキンス撮影監督はハリウッドの最強コンビ。
2 タイの地方都市で日常のなかに当り前のような顔をして過去や死者が入りこんでくる。眠り病患者の夢が呼び起こされる。政治的なメッセージを発することのなかったアピチャッポン・ウィーラセタクン監督が、森と光と風の「クメールのアニミズム」の根拠地から軍事政権を批判する。監督は、これから国内では映画をつくれないだろうと言うが、どうなるのか。
3 こちらは南米コロンビアのアニミズム。近代化と植民地主義にさらされたアマゾン奥地を舞台に、西洋人の宣教師と人類学者、西洋化した先住民と自らを失ったシャーマンが旅する。アマゾンの源流への旅は過去へ遡る旅でもあり、主人公のシャーマンが自らを回復する旅でもある。コロンビアの現在を典型として描いたように思えた。
4 『愛の嵐』以来のシャーロット・ランプリングのファンとして、その悪魔的な魅力と怖さに年輪を加えていよいよ磨きがかかったのを堪能。のどかな田園風景のなか、淡々とした老夫婦の日常に静かに深い亀裂が入ってゆく。若い監督だけど、イギリス映画の成熟を感ずる。
5 佐藤泰志原作、函館3部作の3作目。どんよりした北の空の下、オダギリジョーと蒼井優が出会い、傷つけあい、もういちど出会う。地方都市のゆるい空気や、脇役の点描もこなれている。前2作より、かすかな明るさを感じさせるのがいい。こちらも山下敦弘監督の成熟を感ずる。
6 1950年代ハリウッド映画を思わせる濃厚なメロドラマに酔う。とはいえ、男と女ではなく女と女の愛。そこからくる偏見や差別など、今日性を持たせている。ケイト・ブランシェットとルーニー・マーラがひたすら美しい。
7 アンドロイドのクールなエロチシズムがたまらない。SF+密室ミステリー+猟奇殺人といったジャンル映画をうまく組み合わせて楽しませる。ノルウェーの山岳地帯でロケした人里離れた静寂が雰囲気を出す。
8 ひとりの女性の過去・現在・未来。彼女の人生を2人の男とひとりの息子が彩り、ジャ・ジャンクー流の大河ドラマといった趣だ。ジャ・ジャンクーの映画は中国で上映禁止になることが多いが、これは受け入れられるだろう。
9 日本植民地下のソウル。親日派実業家と日本軍将校の暗殺を描くアクション・エンタテインメント。表の顔は反日だけど、映画の中身は植民地下で協力者として生きざるをえない者の悲しみに力点をおく。型どおりの二分法からはみでるものを感ずる。チョン・ジヒョンがかわいい。
10 映画全体から発する暴力と破壊の衝動。不穏な空気が全編にみなぎる。殺人者の誕生を演ずる柳楽優弥の面構えは、『復讐するは我にあり』の緒方拳を思い出させる。
ほかにリストに入れるか迷ったのは、『火の山のマリア』『サウルの息子』『殺されたミンジュ』『蜜のあわれ』『007 スペクター』『淵に立つ』『シン・ゴジラ』といったところ。
改めてリストを見てみると、女優で選んだ映画が多いなあ。『007 スペクター』のレア・セドゥとモニカ・ベルッチもそうだし。
一年間おつきあいいただいて、ありがとうございました。良い年をお迎えください。
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完全に毎年のお楽しみ化している、映画ベスト10です(since 2008)
今年もかなりの豊作だったなと!
1行目はタイトルとブログのアップ時のサブタイトル、2行目は今回のコメントとなります。
あくまでも「極私的 」ですので、旧作のDVD、までが入り込む場合もありますが ご了承下さい。
記憶保存装置としてのブログって本当に便利だねえ~とあらためて感心しつつ、以下10本。
第1位
サウルの息子 SAUL FIA 狂気 vs 正気の狭間 を画く、21世紀ならではの驚愕... [Read More]
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【2016年下半期に印象に残った作品】
【ホラー】
ザ・ボーイ〜人形少年の館〜
ソムニア -悪夢の少年-
死霊館 エンフィールド事件
クランプス 魔物の儀式
【サスペンス】
薔薇は死んだ
【アクション・SF】
HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス
デッドプール
キングスマン
ウォークラフト
【アニメーション】
ズートピア
ひつじのショーン〜バック・トゥ・ザ・ホーム〜
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今年もいよいよ終わりです。
今年はTOHOパスポートに変えたのに本数は少なかったな~94本でした。
映画も、これ!ってものがぱっと思いつかなくてなかなか悩みました。
今年の1本目は富山の舞台の映画からだったな~
ではではランキングになります。
なんせ富山のもので。。。ちょっとずれておりま!!!!!
1位・・・・ハドソン川の奇跡
これは本当にすごいしか言いようがないような映画でした。涙がとまらなかった~
2位・・・・リリーのすべて
奥さんに入り込んでしまい。。。究極の愛をみた映画だった。エンド... [Read More]
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例年なら1、2本あれば良いというレベルの傑作が、ほとんど月替わりで現れる、しかもメジャーからインディーズ、内容もアニメ、怪獣、ホラーからハードな人間ドラマまで、まんべんなく揃っているのだから凄い。
あまりに良作が多すぎるのでハードルが上がり、例年なら確実に入れている幾つかの作品はこのリストから漏れてしまった。
願わくば、この傾向が...... [Read More]
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2016年劇場で観た作品でBest10とWorstを上げたいと思います。 [Read More]
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» 2016年ベスト10&ワースト10&more...(短評付き) [銀幕大帝α]
【2017年謹賀新年】
2016年銀幕大帝αベスト10
(1/1~12/31の間でリリースされた劇場公開新作DVDの中から選出)
1位:『映画「俺物語!!」』(レンタル開始日:2016-04-27)
短評:すれ違いの恋。ピュアな想いが遠回りしながらもようやく通じ合った時、劇的な感動が誕生する。涙腺緩々にさせられっ放しだった。恋って素敵。
2位:『ヒメアノ~ル』(レンタル開始日:2016-11-02)
短評:身も心も凍りつく演技を遣り遂げた森田剛に賞賛の拍手。決して観てて気分の良い作品ではないが、... [Read More]
Tracked on January 02, 2017 03:15 PM
» 2016☆ベスト&ワースト映画/2016 BESTWORST MOVIE☆ [我想一個人映画美的女人blog]
今年で19年目
独断と完全なる好みで選ぶ、年末の映画ランキング
毎年言ってますが、個人の選出によるものなので映画の出来の良さではなく、
面白かったもの。好き。というのを重視
ちなみにつけた得点数順というわけではありません。
対象となるのは 2016年に公開された作品(既に観た来年公開作品はランキングに入れず) ことしは劇場にて79本。 (試写含む、機内映画含まず。気に入って2回以上観た作品は1本と計算。) おウチ鑑賞 DVD 約 62本(以前1度観た作品&レビューを書かな... [Read More]
Tracked on January 02, 2017 05:04 PM
» 極私的に選んでみた2016年の映画ベスト10 [映画批評的妄想覚え書き/日々是口実]
『ザ・ウォーク』
『ヘイトフル・エイト』
『リップヴァンウィンクルの花嫁』
『レヴェナント:蘇えりし者』
『SHARING』
『ディストラクション・ベイビーズ』
『或る終焉』
『シン・ゴジラ』
『淵に立つ』
『手紙は憶えている』
今年の10本はこんな感じ(観た順に10作品)。
何はともあれハラハラしたもの、陶酔した...... [Read More]
Tracked on January 02, 2017 06:04 PM
» 2016年ベストシネマ10(洋画編) [京の昼寝~♪]
2016年ベストシネマ10(洋画編)
2016年は洋画28本、邦画44本で洋画の本数が少なかったですね 洋画は公開前に惹きつけられる作品が少なかったような気がします。 昨年に続き、TOHOシネマズのフリーパスによる作品鑑賞が少なかったかな(笑) 最近、お正月映画も興味をそそられる作品が公開されなくて残念です。 観賞本数が少なかったので、今回はベスト10を挙げてみることにしました。
ベスト10 ① 『シング・ストリート』 ② 『ジェイソン・ボーン』 ③ 『ジャングルブック』 ④ 『... [Read More]
Tracked on January 03, 2017 09:17 AM
» 2016年振り返り [勝手に映画評]
さて、今年も残すところ、あと僅かとなりました。
と言う事で、2016年鑑賞映画の振り返りです。
2016年の観賞作品ですが、以下のとおりです。
年間で、80本見たようです。
1月:5本
『ブリッジ・オブ・スパイ / Bridge of Spies』
『エージェント・ウルトラ / American Ultra』
『ザ・ウォーク / The Walk』
『99分,世界美味めぐり / Foodies』
『ブラック・スキャンダル / Black Mass』
2月:6本
『ニューヨーク 眺めのいい部屋売... [Read More]
Tracked on January 03, 2017 06:16 PM
» 日本インターネット映画大賞―2016年度投票 [映画的・絵画的・音楽的]
明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い申し上げます。
昨年は、邦画57本、洋画48本の合計107本について、そのレビュー記事を拙ブログに掲載いたしました。邦画と洋画の見た数に結果として10ほどの差が出てしまったのは、昨年の邦画が全般的に質が...... [Read More]
Tracked on January 06, 2017 07:21 AM
» 2016 Movies Best 10 [宇宙のめいぐると]
今年はこちらから! [Read More]
Tracked on January 07, 2017 07:22 PM
» 2016年マイベスト44(おまけで第12回シネマ停留所映画賞) [或る日の出来事]
「ベスト10」だけでは、つまらない! 全部に順位をつけましょか! という、毎年恒例のお遊び。 [Read More]
Tracked on January 09, 2017 07:28 PM
» 20156年を振り返って<映画> [はらやんの映画徒然草]
そろそろ2016年も終わりますので、恒例の1年間の振り返りを行いたいと思います。 [Read More]
Tracked on January 15, 2017 11:32 PM
» 2016 真紅のthinkingdays Best 10 of the movie [真紅のthinkingdays]
改めましてこんにちは。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
年始恒例、昨年一年間に劇場鑑賞した作品からベスト10を選びました。
昨年の新作劇場鑑賞は112本(前年比116.7%)。洋画87本(77.7%)、邦画
25本(22.3%)。自宅では26本。全部で138本(前年比124.3%)。鑑賞本数が
増えたのは、感想を書かなくなった事で時間ができたからですね。いいんだか悪
...... [Read More]
Tracked on January 20, 2017 08:51 PM
» 2016年 ブロガーが選んだ映画ベスト10 [『パパ、だ~いスキ』と言われたパパの映画日記]
今年は、去年休んだんで2015年のものと、「バックトウザフューチャー」2・3の様に同時制作してたら、予想以上に時間かかりまして、えらい遅くなってしまいました。その間、キネ旬のベスト10が発表され、日本アカデミー賞もノミネーションされましたね。で、なにか不満が、ちょこちょこ出てるみたいなんですが、このベスト10を見たら解消されるんでは?というわけでご覧ください。(過去のベスト10 2015年、2014年、2013年 2012年、2011年、2010年、2009年、2008年、2007年、2006年、2... [Read More]
Tracked on January 24, 2017 09:05 PM
Comments
こんにちは。今年もお世話になりますが、どうぞよろしくお願いします。
「ボーダーライン」来ましたね!私もこれは自身のベストに入れました。流石のドゥニ監督と言えましょうか。
…が!!「光の墓」をご理解されているとは…!もう素直に尊敬です。私、この作品はぶっちゃけ睡魔との戦いで、…いやいや、すごく印象に残ったのは間違いないんですけど…。監督の才能に自分の理解が追い付かなかった、そんな感じでした。
今後ともよろしくお願いします。
Posted by: ここなつ | January 10, 2017 12:05 AM
こちらこそよろしくお願いします。
「ボーダーライン」、こういうテイストが僕の好みなんですね、結局。ドゥニ監督の次回作は「ブレードランナー」のリメイクだそうで、これも楽しみです。
「光りの墓」は、僕も落ちました。昔、ゴダールで落ちたときにはショックでしたが、この歳になると落ちることが気にならなくなりました。ちょっと記憶が途切れてもいい映画はいい映画ですから。
Posted by: 雄 | January 11, 2017 11:23 AM
こんにちは、ご無沙汰しております。TBありがとうございました。
2、3、8は未見なのが残念ですが、『オーバー・フェンス』が入っているのがうれしいです。
私も迷ったのですが山下監督好きなのでちょっとオマケしました(笑)。
『ブレードランナー』新作の予告を先日観ました(MMFRのB&Cバージョンの時です)。
ゴズりんが出ていることもあり、リドスコ+レフンという趣で、ちょっと興奮してしまいました。
期待大ですね。楽しみです。
遅ればせながら今年もよろしくお願いします。
Posted by: 真紅 | January 20, 2017 09:20 PM
山下監督好きというの、よく分かります(笑)。この監督のテイストが好きだと、ついおまけしたくなっちゃうんですね。それと、メジャーの映画会社でなく、インディペンデントで今までとは違う映画をつくったところに、いい意味での成熟を感じました。
ヴィルヌーブの『ブレードランナー』はリメイクじゃなく続編ということでしょうか。楽しみです。
今年もよろしくお願いします。
Posted by: 雄 | January 23, 2017 12:43 PM
2016年ブロガーが選んだ映画ベスト10ができあがりました(ついでに2015年も)。
「殺されたミンジュ」、私はベスト10に入れてますが、他のベストではなかなか名前をみつけられず、こちらでリストに挙がっていたという部分を見つけて小躍りしています。
では、今年のベストもよろしくお願いします。
Posted by: aq99 | January 24, 2017 09:04 PM
「ブロガーが選んだbest10」、労作ですね。『ボーダーライン』をbest1にしたのが小生のブログだけとは、嬉しいような悲しいような。『殺されたミンジュ』、ここ何作かに比べれば面白かったので入れてもよかったのですが。キム・ギドクとかイーストウッドとか、ずっと見ている監督の映画は過去の傑作が頭にあるから「並み」では我慢できず、つい点が辛くなります。
Posted by: 雄 | January 26, 2017 11:56 AM