« オルハン・パムク『黒い本』を読む | Main | 『怒り』 クールな小説、ホットな映画 »

September 25, 2016

一葉旧宅からロシア民謡の日

1609251w
walking around Hongo,Tokyo

雨のなか、本郷へ。仕事に関連して樋口一葉の旧宅跡を見にいった。本郷は起伏が多い。菊坂から一本裏へ入った菊坂下道。下道の反対側は鐙坂で両側が高くなっており、谷を走る道であることがわかる。江戸から明治初めにかけて、台地は武家や富裕層が住み、低地には細民が暮らしていた。菊坂下道は当時の地割りをそのまま残していて、人ひとりやっと通れる道や行き止まりの道もある。

下道から細い路地を入った奥に、一葉が住んだ旧居跡がある。階段を上ると鐙坂に通じている。手前の井戸は一葉も使ったものという。一葉はここに18歳から21歳まで住み、針仕事で家族を養いながら小説を書きはじめた。

ここから5分ほど歩いた西片町の崖下には、一葉が最後に住み結核で亡くなった旧居跡もある。谷底と崖下に住んだ一葉。そういう場所と一葉の小説とは深くつながっている。

1609252w

夜は本郷(元富士町)の喫茶店で「うたごえ喫茶ナイツ!」。

友人のソプラノ歌手、室井綾子さんはじめ、クラシック畑の声楽家5人の出演。みな「ロシア声楽曲研究会」のメンバーだそうで、ロシア語と日本語で「黒い瞳」「カリンカ」などおなじみの曲を歌う。

団塊に属する小生あたりが、時代現象としての「うたごえ喫茶」を体験したいちばん若い世代だろうか。大学に入りたてのころ、先輩に誘われて新宿の「ともしび」に行ったことがある。甘く物悲しい旋律のロシア民謡はよかったが、声をそろえて歌う雰囲気になじめなくてそれきり行かなかった。ロシア民謡をこんなにまとまって聞くのは、それ以来かも。

室井さんがひとりで歌った「モスクワ郊外の夕べ」はジャズでもときどき演奏されるけど、澄んだ歌声に感情がこもって聞きほれました。


|

« オルハン・パムク『黒い本』を読む | Main | 『怒り』 クールな小説、ホットな映画 »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference 一葉旧宅からロシア民謡の日:

« オルハン・パムク『黒い本』を読む | Main | 『怒り』 クールな小説、ホットな映画 »