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May 12, 2016

追悼・蜷川幸雄

Photo
the memory of Ninagawa Yukio,Director

蜷川幸雄が演出した『元禄港歌』を今年1月に見た。

瞽女の母役を演じた市川猿之助がひたすら哀しく、若い瞽女の宮沢りえはひたすら美しい。舞台の最初から最後まで、天井から紅い椿の花がぽたりぽたり落ちてくるのが、いかにも蜷川だった。その花が落ちてくる速度、床に落ちるときの音がひとつひとつ違うことからも、蜷川が細かいところまで気を配っているのがわかった。鈴木杏はじめ若い役者も熱演して、蜷川の群像劇らしいエネルギーに満ちている。この舞台の稽古中に入院したそうだけど、そんなことをちっとも感じさせない舞台だった。

鈴木杏さんとはニューヨークの語学学校で、短い期間だったけど同じクラス。その縁で無理を言ってチケットを取ってもらった。今となっては貴重な舞台を見られたわけで、杏さんに感謝。

1980年の『元禄港歌』初演は見ていないが、その前年に平幹二朗、太地喜和子、寺島しのぶで評判を取った『近松心中物語』は見た。芝居をそんなにたくさん見てるわけじゃないけど、過去に見た最高の舞台のひとつ。築地本願寺の石段を舞台にした『オイディプス』や『NINAGAWAマクベス』にも興奮した。あの舞台がもう見られないのは寂しい。合掌。

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