『ようこそ日本へ』展
Visit Japan Tourism Promotion in the 1920s and 1930s
「1920-1930年代のツーリズムとデザイン」とサブタイトルを打たれた『ようこそ日本へ』展(竹橋・国立近代美術館、~2月28日)へ。
この時代、世界中に船舶・鉄道網が張り巡らされたことで成立した国際的なツーリズムの波のなかで、日本も国策として満洲・朝鮮半島・台湾を含む「日本」へと観光客を誘致しようとした。
その時代の満鉄、日本郵船など海運会社、ジャパン・ツーリスト・ビュロー(後の日本交通公社)、鉄道省国際観光局などが製作したポスター、パンフレットが集められている。第一線の画家、イラストレーター、写真家、デザイナーが動員された。
伊藤順三の満鉄ポスター(上の写真左は伊藤作)、実物を見るのは初めてだけど絵もデザイン感覚も見事なもの。他にも明治以来の美人画あり、カッサンドルふうなポスターあり、杉浦非水の風景画、吉田初三郎の鳥瞰図、竹久夢二のアメリカ航路ディナーメニューなどなど。小石清が大阪城を撮ったDISCOVER JAPANふうな国鉄ポスター、木村伊兵衛が原節子を撮り、原弘がデザインした雑誌『Travel in Japan』も展示されている。
遅れてきた帝国主義の一員として欧米の視線に同化した植民地へのオリエンタリズム、アールデコだったりモダンだったりするデザイン感覚、日本神話ふうな意匠、迫り来る戦争の予兆、いろんな要素が混在しているのが面白い。
こういうのがタダで見られる(65歳以上無料)のも嬉しい。
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