渡り温泉から鉛温泉へ
花巻南温泉峡に出かけた。
新花巻駅から奥羽山脈の豊沢湖に向かって登っていくと、豊沢川沿いに一軒宿の温泉が8つ点在している。10年ほど前、そのうちのひとつ、大沢温泉に行ったことがある。今回行ったのは大沢温泉の手前にある渡り温泉。
花巻南温泉峡は古くからある温泉だけど、渡りは戦後になってから開発された。宿も大きくて新しく、何百人も入るコンベンション・センターがある。とはいえ夏休みは終わり紅葉はまだとあって、宿は閑散としている。
湯は弱アルカリ性単純泉で無色透明。熱くもなくぬるくもなく、長くつかっていられるのがいい。
台風が2つ本州に近づいていて、雨が降ったりやんだり。豊沢川を挟んだ西の山稜から雲が湧きたつ。
翌日は上流の鉛温泉へ。藤三旅館は600年前に温泉を見つけた先祖からつづく古い宿。
600年前、白猿が温泉につかって傷を治しているのを木こりが発見し一族の湯にしたという伝承がある「白猿の湯」。源泉の真上の岩を掘って湯船にしている。湯船は1メートル25センチもあり、深いので立って入る。中央の岩の下から源泉が湧きだしている。
湯は渡り温泉と同じ無色透明。かすかに硫化水素の匂いがして、飲むと苦い。この湯は混浴で撮影禁止の張り紙があったが、誰も入っていなかったので宿の許可をもらって撮影した。
湯の脇には猿の木像があり、温泉の神が祀られている。
ここは昔ながらの自炊もでき、売店では食料品も売っている。
そばを豊沢川が流れる露天風呂。ここはぬるめで、いつまででも入っていられる。せせらぎの音を聞きながら岸辺の緑と川面の白波をながめていると時間を忘れる。
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