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May 23, 2015

『私の少女』 かすかなエロスの匂い

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A Girl at My Door(viewing film)

ペ・ドゥナを初めて見たのは『子猫をお願い』だった。高校を卒業した5人の元同級生の青春もの。冒頭では地味で目立たない女の子に見えたドゥナが、ラストシーンではきらきら輝くように感じられ、その魅力にすっかりいかれてしまった。以来十数年、『復讐者に憐れみを』『グエムル』『リンダ リンダ リンダ』『空気人形』『クラウド アトラス』と追っかけてきた。『私の少女(原題:도희야 ドヒよ)』は、すっかり国際的女優になった彼女の久しぶりに公開される韓国映画。35歳になったドゥナは相変わらずキュートで素敵だ。女優としての成熟も感ずる。

相手役は15歳のキム・セロン。映画の中ほど、DVの被害に遭って警察官ヨンナム(ペ・ドゥナ)のアパートに引きとられたドヒ(キム・セロン)が、ヨンナムの留守中に彼女の制服を身につけているショットがある。また別のシーンでは、長い髪のドヒが床屋で髪を短く切ると、ショート・ヘアのヨンナムそっくりになる。ドヒは明らかにヨンナムと一体になりたいと願っている。

小さな村で起こる出来事に現在の韓国社会が抱える問題が凝縮されているけれど、チョン・ジュリ監督が力を込めて描いているのは年齢差のある女性二人の微妙な感情の揺れだろう。

レズビアンであることが発覚して海辺の村の警察所長に左遷されたエリート警官ヨンナムは、村人にいじめられている少女ドヒに出会う。ドヒは酒癖の悪い継父ヨンハ(ソン・セビョク)と祖母にもいじめられており、ヨンナムはドヒを自分のアパートにかくまう。漁業を営むヨンハは不法就労で働くインド人に暴行して逮捕される。ヨンハは腹いせにヨンナムをドヒへの性的虐待で訴え、ヨンナムも逮捕されてしまう。それを知ったドヒは、釈放された継父を罠にかけ……。

新参者としてやってきたヨンナムは村のなかで孤立し、アルコールにおぼれている。はじめのうちヨンナムは警察官の義務としてDVの被害者ドヒをかくまっているけれど、同じ部屋で暮らすうちにその空気が微妙に変わってくる。ヨンナムが風呂に入っていると、ドヒも裸になりバスタブに入ってくる。ドヒはヨンナムに抱きつき、ヨンナムもためらいがちにドヒの肩に手を回す。ドヒがヨンナムの制服を着たり、ヨンナムそっくりの髪型にするのは少女の無意識の求愛行動だろう。かすかなエロスの匂いが漂う。

ドヒは無垢の被害者ではなかったことが明らかにされる。転属が決まって村を出る途中のヨンナムに若い警官が言う。「自分にはあの少女は小さな怪物に見える」。その言葉を聞いたヨンナムは、引っ返してドヒの家へ向かう。その言葉で、ヨンナムはある一線を越える決心をしたようにも見える。映画の最後、ヨンナムが運転する車の助手席で眠るドヒ。二人は保護する者とされる者なのか、あるいは未来の恋人同士なのか。

映画は南部の麗水で撮影されている。暗い空から落ちる雨や海岸に降り注ぐ光、水田のみずみずしい緑。古い木造家屋や、ヨンナムとソウルからやってきた元恋人の女が寂しく酒を飲む居酒屋の佇まい。女たちの物語を支える、そんな風景が素晴らしい。

脚本・演出のチョン・ジュリは34歳の女性監督で、これが処女作。韓国映画は次々に才能が現れる。製作はイ・チャンドン。

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