湖と温泉
結氷し、雪をかぶった糠平(ぬかびら)湖。ニペソツ山、ウペペサンケ山を中心とする東大雪地域の麓にある。糠平の地名は、ヌカ・ピラ(形ある崖)というアイヌ語から。
糠平湖は人造湖。1950年代に十勝川支流の音更(おとふけ)川につくられた糠平ダム建設によって生まれた。冬はワカサギ釣りが楽しめる。今年は氷の溶けるのが早く、3月1日には湖面への立ち入りが規制された。
ぬかびら温泉(温泉名はひらがな表記)は大正期に発見された。昭和に入り鉄道が通ったことで十勝方面や林業関係の客でにぎわったという。でも1980年代をピークに林業の衰退、鉄道の廃線、スキー人気の低迷などもあって客は減っていった。
いちばん大規模な大雪グランドホテルは2003年に倒産、その廃墟は今も温泉街のなかに寂しく残っている。「みやげ」と看板のある店も数軒あるけれど、営業しているのは1軒だけ。
でもここの温泉は湯量は豊富で泉質もいい。全国に先駆けて「源泉かけ流し宣言」して、温泉としての魅力をアピールしている。高度成長期のような大きな温泉ホテルでなく、小さな宿泊施設もでき、さまざまな工夫で生き残ろうとしているようだ。頑張ってほしい。
部屋から外をながめていたら、シカの親子がやってきた。今はシカ猟の季節だけれど、町なかなら撃たれる心配がないので、人のいるところへ出てくるという。
夕方、雪が激しく降りはじめた。さあ、また露天に温まりにいこう。
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