2014映画ベスト10
今年もまたお楽しみとしてベスト10を選んでみました。順番はその時の気分なので、たいした意味はありません。でも上位の5本は心に突き刺さった映画でした。
1 収容病棟
2 プリズナーズ
3 罪の手ざわり
4 アクト・オブ・キリング
5 ジャージー・ボーイズ
6 0.5ミリ
7 新しき世界
8 鉄くず拾いの物語
9 ドラッグ・ウォー 毒戦
10 アメリカン・ハッスル
1 ドキュメンタリー映画をベスト1にしたのは初めてかも。前作の大飢餓時代を描いた劇映画『無言歌』もすごかったけど、精神障害者、家族に捨てられた者、政治犯を収容する病院の日々をひたすら見つめたこの映画から、何にもまして中国の今が見えてくる。
2 今年、いちばん面白かったミステリー。敬虔なキリスト教信者である市民が神に祈りながら犯罪を犯す。エヴァンジェリカルなど宗教右派が過激化しているアメリカの現実を背景に。『複製された男』もあったし、旧作『渦』『灼熱の魂』(傑作!)も見たし、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督を発見した年。
3 中国で実際に起こった犯罪を伝統的な武侠映画の形式を借りて物語に仕立てた。ジャ・ジャンクー監督のデビュー以来の映画は、全体として改革開放以後の中国の現代史になっている。『収容病棟』もこれも中国国内では上映禁止だが、映画の力を実感する。
4 インドネシアで市民を虐殺しながら今も国民的英雄である男に、虐殺を再現する映画をつくろうと持ちかけて撮影したドキュメンタリー。素材も、手法もとんでもなくあざといけれど、それだけに映画の毒をみなぎらせたグロテスクな怪作。
5 今年いちばん映画の快楽を堪能した作品。1960年代の聞きなれたヒット曲ということもあるけど、クリント・イーストウッドの職人芸に酔う。ミュージカル映画はあまり好きじゃないけど、これはミュージカルというよりイーストウッド流の音楽映画だった。
6 日本映画で選んだのはこの1本だけ。今年は邦画を数えるほどしか見ていないけど、迷ったのはこれと『紙の月』。『紙の月』は宮沢りえに尽きる。こちらは監督・安藤桃子と主演・安藤サクラの姉妹がすごい。地方都市と高齢者の日本の風景が素敵な映画に仕立てられた。
7 韓国マフィアと中国朝鮮族マフィアの跡目争いに潜入捜査官が絡む韓国版『仁義なき戦い』。東映ヤクザ映画世代なので(健さん、文太に合掌)、こういう映画につい肩入れしてしまう。韓国に根を張った中国朝鮮族という現実を背景に、3部作になるらしいので楽しみ。
8 ボスニア・ヘルツェゴビナの山村に住むロマの一家の物語。日常よくあるちょっとした不運・不幸を淡々と描く。実際に体験した家族が出演している。なんの技巧もないストレートな映画だけど、それだけに最後に一家に訪れる暖かい夜が心に染みる。
9 香港ノワールの巨匠ジョニー・トーが大陸で撮ったノワール。麻薬製造グループと、それを追う刑事。中国で撮るには「犯罪は割に合わない」という教訓を込めなければ許可されないが、トーはそれを最後の1分でクリアしつつノワールの華を咲かせた。
10 今年いちばん楽しめたコメディー。詐欺師とFBIの騙しあいにラブ・アフェア。クリスチャン・ベール、エイミー・アダムス、ジェニファー・ローレンスの魅力全開。『ウィンターズ・ボーン』の意思的な少女だったジェニファーがこんな色っぽい女になったとは!
ほかにもリストに入れたい映画が何本もありました。『ウルフ・オブ・ウォールストリート』『サード・パーソン』『アデル、ブルーは熱い色』『郊遊』『フランシス・ハ』『悪童日記』『インターステラー』『毛皮のヴィーナス』『ゴーン・ガール』などなど。『ゴーン・ガール』はまだ感想を書いてないので、来年回し。
今年もおつきあいいただいてありがとうございました。よいお年をお迎えください。
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