「桑原甲子雄の写真」展へ
Kuwabara Kineo photo exhibition
朝から風も雨も激しかったけど、「桑原甲子雄の写真 トーキョー・スケッチの60年」展(~6月8日)へ。この日を逃すとボランティアでお手伝いしている写真展の準備や仕事が忙しくなり、行きそこないそうな気がしたので。浦和から横浜美術館や川崎市民ミュージアムへは1日がかりだけど、世田谷美術館も千歳船橋からバスに乗るので半日がかりになる。
1970年前後、新米の雑誌編集者だった僕が桑原さんを知ったのは写真家としてでなく名編集長としてだった。写真をはじめてみたのは、『東京昭和十一年』『満洲昭和十五年』の2冊の写真集。戦前の東京の町に溶け込むようにして、こんな素敵な写真を撮っていたんだと驚いた。
会場はその戦前の東京、満洲だけでなく、1970年代に再びカメラを持ち東京を撮るようになってからの作品も含め、桑原さんの写真の全体が眺め渡せるようになっている。桑原さんは晩年「写真はホビーとして撮ってきた」という意味のことを語っているけれど、最後まで良きアマチュアリズムを貫いた。どの作品からも、プロフェッショナルの意思的な姿勢でなく、撮るのが好きで楽しくてという気配が匂ってくる。そののびやかな自由さが素敵だ。
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