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December 01, 2013

山下洋輔NYトリオ結成25年コンサート

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Yamashita Yosuke NY trio concert

山下洋輔がセシル・マクビー(b)、フェローン・アクラフ(ds)と組んだニューヨーク・トリオは今年で結成25年になる。その記念コンサートに行ってきた(11月30日、渋谷区文化総合センター)。

ニューヨーク・トリオの最初のアルバム「クレッシェンド」を聞いたときは、それまでフリージャズ一辺倒だった山下洋輔が古典的なピアノ・トリオで「A列車で行こう」なんかのスタンダードを演奏しているのが新鮮だった。ガーシュインの曲をやった次のアルバム「プレイズ・ガーシュイン」は今も愛聴盤のひとつ。

3人が舞台に登場する。78歳になるセシル・マクビーは3年前より足腰が弱ったかな。でも音は変わらない。今回は新しいアルバム「グランディオーソ」から。中村誠一や坂田明がいた頃の山下トリオはどんな曲をやっても最後には同じようなハチャメチャになる印象があったけど(それがよかった)、今はテーマやリズムの曲想をきちんと保持して、3人がたっぷりアドリブを聞かせ、バラエティーに富む。

「セブン・デイズ・キャッツ」はリズミカル。「ジェントル・カンヴァセーション」は美しいバラード。「ビハインド・レッド」は日本人好みのマイナーな曲(こんな山下は初めて聞いた気がする)。「フリー25」はかつての山下トリオを思い出させるフリー。「ダンシング・クラブ」はファンキーっぽい。「メヌエット13」は一転してバロックふうだし、「コンチェルト・イン・F」はガーシュインのピアノ協奏曲をトリオで演奏したもの。どんな曲でも山下洋輔の音楽になるのは一貫してる。アンコールの「マイ・フェイバリット・シングス」まで、たっぷり楽しませてもらった。

山下がMCで「25年、なんでもありの精神でやってきました」と言っていた。かつての山下トリオが聞く者の感情をぐりぐりと高揚させていく求心的なものだとしたら、今のニューヨーク・トリオは名人3人が新しいことをやりつつ聞き手を楽しませる術も知っている。それが25年の年月を刻ませたんだろう。セシル・マクビーはホワイト・ハウスでオバマの前で演奏する機会がありながらそれを断って来日したという。演奏する側にもそれだけの魅力があるトリオなんだ。

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