「日本の70年代 1968-1982」展
ご近所の埼玉県立近代美術館で「日本の70年代 1968-1982」展(~11月11日)をやっている。休日の午後、散歩がてら行ってきた。
のっけから知った名前が出てきて、おや、こんなところで出会うとは。佐々木美智子撮影の「日大全共闘」。彼女は写真家であり、新宿ゴールデン街の飲み屋の経営者でもあり、僕は常連ではなかったけど何度か店に行ったことがある。
前半の展示の中心は横尾忠則と赤瀬川原平。映画やアンダーグラウンド演劇のポスター、雑誌の表紙やグラビア、単行本の装丁、大阪万博の企画などなど。美術といっても美術館の額縁に収められた作品でなく、他ジャンルやメディア、商品との境界領域での仕事。粟津潔や宇野亜喜良も含めて、70年代を知る者にはおなじみのイメージが並んでいる。
演劇(寺山修司、唐十郎)、映画(大島渚、『季刊 フィルム』」)、マンガ(上村一夫、真崎守)、写真(森山大道、中平卓馬)、建築(黒川紀章)、CM(パルコ、資生堂)、雑誌(ぴあ、宝島、an・an)、レコード・ジャケットなども呼び込まれて、「70年代カタログ」といった風情だ。後半、狭い意味での美術中心の展示は、当時関心が薄かったこともあり谷川晃一を除いてなじみがない。
以前、目黒区美術館でやった「戦後文化の軌跡 1945-1995」展ほどの厚みはないけれど、懐かしさを超えて、今も見る者を挑発する「もの」たちが集められている。美術だけでなく、あらゆるジャンルの「額縁」を疑ったこの時代。やっぱり好きなことを勝手にやっているのが面白い。
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