法界寺から醍醐寺へ
a trip from Hokai Temple to Daigo Temple, Kyoto
ボランティアの用事で大阪へ行ったついでに京都へ寄り、日野の法界寺と醍醐寺を訪れた。
京都の地下鉄東西線、石田駅を降りて東へ、醍醐山に向かって歩いていくと旧奈良街道があり、「乳薬師 日野法界寺」の道標が立っている。法界寺は醍醐山の麓に位置し、大和路のような民家が続くゆるやかな坂道を登ってゆく。
法界寺は安産の日野薬師として知られている。きっと賑わっているに違いないと思っていたら、日曜日の昼間なのに人っ子ひとりいない静寂。
ここへ来たのは、この阿弥陀堂と本尊の阿弥陀如来(どちらも国宝)を見たかったから。平安時代も半ばを過ぎると、阿弥陀仏のいる西方浄土への成仏を願う浄土教が流行した。そこで数多くの阿弥陀堂が建てられ、本尊として阿弥陀仏が安置された。法界寺の阿弥陀堂と阿弥陀仏は、同じ頃つくられた平等院鳳凰堂とともに、その代表的なものと言われる。
鳳凰堂もそうだけど、堂といっても小さなものでなく、立派な建物。とはいえ桧皮葺で、屋根の勾配もゆるやか、大きな廂が出ていて大寺の威圧感はない。
本尊の阿弥陀如来は3メートル近い大きなもの。定朝様式と呼ばれるものらしく、頬はふっくらと丸く、なんともやさしい顔をしている。僕は若い頃、奈良の天平仏が好きでよく見に行ったので、和風と言われる定朝様式にはあまりなじみがなかった。でも京都で仏像を見始めるようになると、ふくよかな丸顔、やさしい表情の仏さんが多いのに気づく。平安貴族はこういう顔の仏を好んだのか。
日野という土地は、親鸞が出た日野氏の根拠地。法界寺も日野家の菩提寺に当たる。親鸞もここで生まれ、幼い頃は法界寺の阿弥陀仏に親しんだらしい。幼い親鸞が座って仏を見上げていたのとちょうど同じ場所に座っているかと思うと、ちょっとどきどきする。
法界寺は檀家が少なく寺の維持管理に困難を来たしていると書いた寄進帖があったので、ささやかな金額を寄進する。
地下鉄にひと駅乗って醍醐寺へ。お遍路の一団と一緒に門をくぐる。法界寺とは対照的に、こちらは世界文化遺産に登録されているので参拝客でいっぱいだ。
秀吉が「醍醐の花見」でつくらせた有名な庭で知られる三宝院の屋根。
金堂。秀吉の命で1600年に紀州から移築されたもの。
五重塔。京都でいちばん古い五重塔。
観音堂の下で真言を唱えるお遍路さん。
霊宝館に安置されている薬師三尊、千手観音などを見る。平安時代の仏像は、いかにも貴族顔の薬師三尊や阿弥陀如来より、十一面観音や千手観音のほうが親しみやすいような気がする。
地下鉄で三条大橋へ。休日の午後、いろんな音が聞こえてきた。チェロのクラシック。
トロンボーンのジャズ。
橋の下からはコーラス。
河原ではコンガ。
午後4時前で、京都へ来ると必ず寄る店はまだ開いてない。先斗町をそぞろ歩き、開いていた店で一休み。
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