万座の湯
家族の湯治につきあって10カ月ぶりに万座温泉にやってきた。ここは標高1800メートル。秋雨前線の影響もあって激しい雨が降ったかと思うときれいに晴れ、かと思うと一面のガスに包まれて視界がなくなったり、1時間ごとに天気が変わる。
いつも泊まる日進舘は明治初期の開業。5種類の源泉を持っている。酸性硫黄泉。露天の極楽湯はそれらをミックスさせた湯で、見事な乳白色。極楽湯につかりながら万座の四季をながめるのが、ここへ来る最大の楽しみになっている。
これは深夜の極楽湯。ススキの季節に来たのははじめてだ。雨上がりで、空には満天の星。
極楽湯から100メートルほど下ると湯畑がある。湯の温度は90度。硫化ガスが出ているので立ち入り禁止。ここはかつての火口の底に当たる場所だそうだ。周囲には草木が生えず、黄色くなった岩山が続く。
館内には7つの湯がある。これは苦湯。薬効は一番と言われ、湯治客はこの湯を目当てにやってくる。42度前後に調整されている乳白色の湯が肌をすべる滑らかな感触がたまらない。
苦湯(左)の右手には姥湯がある。こちらはぬるい湯で、乳白色も薄く半透明。ほかの湯は90度あるので水を加えて湯温を下げているが、姥湯は源泉100パーセント。霧が流れたり、闇が深くなっていったり、外の景色を眺めながら、ぬるめの湯に長時間つかるのが何ともいえない快楽なんだな。
苦湯から外に出ると半露天の苦姥湯と、笹の葉を入れた笹湯がある。どちらも熱めの湯。
新しくできた万天の湯。こちらも5種類の源泉をミックスさせたもの。新しいだけに明るく気持ちよい。
湯治宿だった時代、熱い湯をぬるくするために使った湯もみ板。
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